NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションと実践女子大学人間社会学部准教授 斎藤明氏は、再就職希望の女性と雇用側の意識格差に関する調査結果を発表した。有効回答者数は再就職希望女性が304名、企業の採用担当者は160名。

再就職で気がかりな点「希望の条件、時間で働けるか」

再就職を希望している女性に、現在未就業である理由を尋ねたところ「子育て」(50.7%)が最も高く、次いで「働きたいが仕事がない」(29.6%)、「働くためのスキルがない」(15.5%)と続いた。

再就職を考えるにあたり、気掛かりになること(希望雇用形態別)

再就職を考えるにあたって気掛かりな点について聞くと 「希望の条件、時間で働けるか」(70.4%)が最も高かった。「希望の仕事が見つかるか」(45.1%)、「仕事とプライベートを両立できるか不安」(41.1%)という回答も多い。また、「自分のスキルが十分かどうか」(32.6%)といった、スキルに対して不安を感じている人も3割見られた。

現在未就業の女性の前職および再就職で希望する就業形態について比較すると、前職は「正社員:役職なし」(57.6%)と「正社員:係長・主任」(7.6%)で半数を超えた。しかし再就職で希望する形態は「希望はない」(38.5%)と回答した割合が最も高い。再就職後に際しては自分の要望を言えないと考えている人が少なくないことがわかる。

一方、企業の人事担当は、子育て・介護などで一度仕事を辞めた女性の再就職で想定する雇用形態は、「正社員」かつ「役職が付く職位」での採用も想定している傾向がある。しかし未就業女性は「役職が付く職位」への希望はほぼなく、「正社員」希望の割合も雇用側に比べて高くないため、両者の希望に大きな開きがあることがわかった。

雇用側:再就職で希望する雇用形態の就業希望形態との比較

未就業女性に学びたいスキルは「パソコン操作」「外国語」が多い

未就業女性に学びたいスキルについて聞くと、「パソコン操作」「外国語」などの割合が高かった。一方、企業側が求めるスキルとしては、「コミュニケーション能力」「ビジネスマナー」などに回答の多くが集まっており、両者の間にはミスマッチが生じていることも明らかとなった。

雇用側:再就職で希望する雇用形態の就業希望形態との比較

企業における子育て・介護をしながら働く女性に対するサポート制度について見ると、「勤務時間の短縮制度」(64.4%)が最も高かった。次いで「休暇取得制度」(50.6%)、「遅刻、早退の許可」(41.3%)となっている。

未就業女性を再雇用するのに当たっての課題については、「特に課題はない」が半数(54.4%)だが、45.6%は「再雇用」と「復職後の社内制度や環境」に対し何かしらの課題を感じていると回答した。特に「従業員500人以上」の企業は、そのように回答する割合が高くなっている。

未就業女性の半数は「業務委託で働きたい」

未就業女性と企業側それぞれに、業務委託(SOHO形式)で「働きたい」意志と導入可能性について確認したところ、業務委託で働きたいと考える未就業女性は51.3%と半数以上を占めた。

一方で、企業側の導入意向は、「500人以上」の大企業においては導入意向が若干高いものの、「この先の予定はない」と回答した企業が大半を占める結果となった。業務委託の可能性においても就業希望側と雇用側の両者においてニーズが釣り合っていない状況がうかがえる。

企業側:業務委託の導入可能性