「All About」を運営するオールアバウトは12月9日、2013年から実施しているというアワード企画である「国民の決断」において、全9部門のランキングを発表した。これによると、1位は「がん検診を受ける決断」、2位は「地方移住する決断」、3位は「パパが育休を取る決断」だった。

「国民の決断」 2015年の総合ランキング

同企画は、その年に生活者の身の回りで特徴的だったと思われる事柄とそれに対する決断について、住まい/マネー/転職・起業/妊娠・出産/老後/消費・購買/健康/進学・就職/結婚・離婚・再婚の計9部門において、約900名のガイド(専門家)のアンケート結果をもとにAll Aboutの編集部が審議し、総合ランキングと部門別ランキングを発表するというもの。

1位のがん検診(健康部門)は、有名人のがん報道が相次いだことによるという。同社が2015年11月に20代から50代の女性を対象として行ったインターネット・リサーチ(有効サンプル数は2,200人)の結果、タレントの北斗晶が乳がんであることを告白した報道を見て「乳がん検診をすぐ予約した」と回答した女性の割合は7.9%だったとのこと。「検診を受けようと思った」と回答した女性(21.0%)と合わせると3割近くの女性がこの報道に影響され、乳がん検診を受ける決断をしたという。年齢別では30代の意識が34.0%と最も高く、20代が31.8%で続き、これまで危機感が薄かった若い世代の意識を変えるきっかけとなったようだと同社は分析する。

北斗晶の乳がん発表を見て取った行動

2位の地方移住する決断(住まい部門)に関しては、都市から田舎へ移住したい人が内閣府調べによると9年前に比べ11ポイント増加したという。年齢別に見ると、若者は田舎暮らしに憧れ、高齢者ほど医療機関へのアクセスなどの利便性を求めて都市部に住みたがる傾向にあるとのこと。また、徳島県や長野県、高知県などが、企業のサテライト・オフィスを積極的に誘致しているという。

このような動きについて「最新住宅キーワード」ガイドの山本久美子氏は、「若い子育て層が、豊かな自然の中で子育てをしたいとか、ストレスの無い生活をしたいなどの理由で地方移住を選ぶ傾向があります。一方、平日は都市部に勤務し、週末は田舎で家族とゆっくりと過ごす『ニ地域居住』といった移住スタイルもあり、多様なライフスタイルを実現する手段も増えています」とコメントしている。

3位のパパが育休を取る決断(妊娠・出産部門)に関して、厚生労働省が2014年に実施した調査によると、男性の育児休暇取得率は2013年度の調査と比べ0.27ポイント高い2.30%だったとのこと。一方、同社が11月中旬に実施した調査では、2014年10月以降に配偶者が出産した男性291人の育休取得率は10.65%に上ったという。政府が目標に掲げる「2020年の男性の育休取得率13%」に一歩近付いた半面、会社に遠慮して育児休暇ではなく有給休暇を取得する「隠れ育休」という言葉も登場しているとのこと。

このような状況に対して「男の子育て」ガイドのおおたとしまさ氏は、「男性の育休取得率の向上には、企業による福利厚生ではなく、国による社会保障の範疇であるという認識のもとで議論を深めていく必要があります。目標数字だけが企業に押し付けられれば、イクメンになりそうな男性をそもそも雇用しないという動きが強まる可能性だってあります。つまり企業へのサポートも必要ということです」とコメントしている。