長期入院を願う家族… 「介護施設費より入院費の方が安い」は本当か?


近年、日本では他国に類を見ない程の高い水準で高齢化が進んでいます。その中で国の社会保障費の財源圧迫は深刻な問題です。国の方針は病床数を減らし、なるべく在宅医療を進めるために「地域包括ケアシステム」なるものを構築しようとしています。

しかし、現状ではお金のない高齢者が病院へ怪我や病気で入院すると施設費に比べて安い現状があるため、できるだけ長く入院してほしいと願う家族が多々いらっしゃいます

今回は入院費が施設費に比べて本当に安いのか? ということを解説していきます。


後期高齢者の医療費はどれくらいかかるのか?
以下は後期高齢者の医療費をまとめたものです。


上記に書いてある負担限度額とは、高額療養費のように後で払い戻されるのではなく、窓口負担の支払いを掲示している金額までで抑えることができる制度のことです。

例えば、上記でも記述しているように後期高齢者の一般世帯であれば負担限度額により医療費は44,400円になります。これに食事代や後はテレビ代や病衣などの自費分が含まれた額が1月の入院日になるわけです。

なので、以下のようになります。

44,400円(医療費)+食事代(日数分)+自費分(テレビ・病衣etc…)



では、なぜ、介護保険施設費よりも医療費の方が安くなるのか?


まず、病院へ入院させて欲しいと相談に来る家族とは施設費が払えない方です。となると必然的にお金のない方になるので、入院費は上記の表で示した低所得Ⅱか低所得Ⅰの方がほとんどです。ということは、月の入院費は大体4万円前後になります。

以前、介護保険施設費について紹介した[http://manetatsu.com/2015/09/49927/]ように、介護保険施設費は低所得者の場合でも安く見積もっても約6万円程度はかかります。それに比べると、医療費の方が約1~2万も安くなるわけですから当然お金のない世帯の方は施設よりも病院を希望するわけです


病院での長期入院は困難な場合は施設しかないのか?


ひと昔前のように病院に長期的に入院できる時代は終わりました。一つの病院に入院すれば最後まで入院させてくれるところは殆どありません。ですが、病院の機能として、医療療養型病院か介護療養型病院であれば長期的な入院が可能です。

しかし、医療療養型病院はあくまでも病院なので長期的に入院の必要性がある方しか受け入れはしてもらえません。例えば、24時間酸素が必要な方や1日の吸引回数が多い方など医療区分と呼ばれている何かしらの該当する項目がないと入院は困難なのです。

次に、介護療養型病院とは要介護認定を受けている方が対象にはなりますが、現在病床数の削減と合わせて、完全に無くそうとしている国の動きがあるため、この病棟を持っている病院は毎年減少傾向にあります。


まとめ


後期高齢者の方にとって、確かに医療費は介護保険施設費よりも安いです。

ですが、病院とは高齢者を介護するところではありません。医療を必要としている方が入院する場所なのです。確かに費用の面で言えば安くなるかもしれませんが「もっと入院をさせて欲しい」と言ってもそれはできないのです。

病院へ入院している時に「費用が安いから入院を伸ばしてもらおう」ではなく、入院中に在宅もしくは入居できる施設を探して怪我や病気が完治した時にスムーズに退院できるように家族が動かなければなりません。本人の経済状況や状態に合った最適な所を探してあげられるのは家族しかいないのです。(執筆者:西村 馨)


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