多部未華子と倍賞美津子が初共演で"二人一役"を演じる映画『あやしい彼女』(2016年4月1日公開)の撮影が公開され、多部の"涙の歌唱"シーンが明らかになった。

映画『あやしい彼女』で歌声を披露する多部未華子(右)

本作の主人公は、周囲から煙たがられている73歳の老婦人・瀬山カツ(倍賞)。シングルマザーとして娘を育て、望むような人生を送れなかったある日、家出した先で目にした写真館に引き寄せられる。店を出ると、そこには20歳に戻った美しい自分(多部)の姿が。若者に戻り、名前を節子と変えたカツが歌手になるという夢を取り戻し、人生をやり直す様を描く。2人のほか、要は若返った20歳のカツ・大鳥節子の歌声に魅了され惹かれていく音楽プロデューサーの小林拓人役を、北村匠海はバンド青年のカツの孫・瀬山翼役をそれぞれ演じる。

都内のスタジオで行われた撮影は、節子率いるバンド"怪しい彼女"が歌番組に生出演するシーン。リアルなセットと複数のカメラの前で、多部はザ・フォーク・クルセイダーズの名曲「悲しくてやりきれない」を悲しげで切ない表情を浮かべながら熱唱していた。自然に涙が頬を伝う多部の姿に、スタッフから感嘆の声もあがった。

「撮影前は週2回ボイストレーニングをした」という多部が歌う楽曲は、全4曲。レミオロメンやエレファントカシマシなどの楽曲を手がけてきた元My Little Loverの小林武史がプロデュースを務めた。多部は、小林の指導について「だいぶかみ砕いてアドバイスをくださったんですが、よくわからなくて…」と吐露したが、苦労の成果もあり、その歌声には要も「失礼ですが、『本当に多部ちゃん歌ってるの?』と聞くぐらい普段と全然違って、多才だなと思いました。誰が聞いてもすごく上手」と大絶賛。水田伸生監督も「要さんが(多部の歌声を)初めて聞くシーンは1分ぐらい長回しで撮ったのですが、一回もまばたきしなかったんです。『潤さんすごいな』って思っていたら、『ただ、見とれていた』ようです(笑)」と口をそろえる。

さらに、多部は役作りについて「とても難しかった」とも話し、「倍賞さんにお話をさせていただきアドバイスを取り入れたりしました。カツさんの人生経験、見てきた風景などを大事に想像して演じています」と告白。要はそんな多部を「普段はかわいらしい女の子らしい方」とした上で、「実際に中身が入れ替わった、ドスの利いた芯の強い女性を演じているギャップが不思議でしたが、すごく魅力的」と歌唱に続いて称賛した。北村も「パワフルに演じられていて、すごく刺激になります」と、"大先輩"の演技から多くを学んでいる様子だった。

そんな怪しい彼女のギタリスト役の北村は、現場でも実際にギターを披露。全6曲、練習を重ね、ライブハウスのシーンでも生演奏する。水田監督は、その腕前を「本物です。一切ごまかして撮る必要性がないのがリアルでありがたい」と認めた。

収録は緊張感も漂ったが、撮影の合間はとても和やかなムード。多部が、「普段『多部ちゃん』と言われることが多いので、水田監督やスタッフから『未華子ちゃん』と呼ばれると、いまだに慣れなくてドキドキしています」と照れ笑いすると、要と北村は「ずっと撮影していたい」と語り、水田組の居心地の良さを伝え、撮影が再開した。

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