JR西日本は1日、京都鉄道博物館の報道関係者見学会を実施した。2016年4月29日のグランドオープンに向けて準備が進む中、今回はプロムナード・トワイライトプラザ・本館の展示車両や屋外展望デッキ「スカイテラス」が公開された。

京都鉄道博物館の本館1階では、新幹線500系などJR西日本を代表する車両が並ぶ

京都鉄道博物館は京都市の梅小路公園内に建設され、旧梅小路蒸気機関車館(2015年8月閉館)の蒸気機関車約20両のほか、旧交通科学博物館(2014年4月閉館)の展示車両・収蔵物も移設。計53両がそろう"日本最大級の鉄道博物館"となる。「見る、さわる、体験する」を重視した展示構成で、生涯を通じて学べる場をめざす。博物館の核である資料の収集・保存も体系的に行い、調査・研究も積極的に展開する。

本館1階に展示された車両は、新幹線500系521形1号車をはじめ、寝台特急でも活躍したクハネ581形35号車、ボンネット型の特急形電車クハ489形1号車、特急形気動車キハ81形3号車など。「500系のもう片方の先頭車は、山口県の日立製作所笠戸事業所に譲渡されています」「クハネ581形の室内には3段式寝台が残っています」「クハ489形は急行『能登』でも使われた車両。カビだらけでボロボロだったのを、板金塗装でここまできれいに蘇らせました」などの説明とともに、これらの車両が紹介された。

同じく本館1階のEF66形35号機・DD51形756号機では、「日本の博物館で初の試み」というかさ上げ展示を実施。「車両を床下から見ることができます。京都では地下に重要文化財が眠っている可能性があり、あまり深く掘れないため、人が通れる180cm以上の空間を設けた上で、車両をかさ上げして展示することになりました」とのことだった。

500系521形1号車

クハネ581形35号車

クハ489形1号車

キハ81形3号車

本館1階のDD51形756号機・EF66形35号機はかさ上げ展示に

「トワイライトエクスプレス」の機関車・客車も展示するトワイライトプラザ。歴史的価値を持つトラス構造を再利用した空間に

プロムナードでは新幹線0系4両に加え、クハ103形1号車、DD54形33号機、C62形26号機などの車両も展示されている

本館に隣接するトワイライトプラザでは、寝台特急「トワイライトエクスプレス」の機関車EF81形103号機と客車2両、戦後を代表する機関車EF58形150号機と客車2両を展示。2代目京都駅のホーム上家を再利用したことも特徴となる。プロムナードには新幹線0系4両をはじめ、オレンジのクハ103形1号車も展示。「この103系は奈良線で引退した車両。車体もグリーンでしたが、我々の考える103系の象徴的な色はオレンジ。この車両も色を塗り替えました」とのエピソードも明かされた。

本館2階は吹抜け空間となっており、1階の展示車両を見学することも可能。他にATS・ATCなど運転のしくみを体験できる展示をはじめ、鉄道ジオラマ、運転シミュレータなども設置される。本館3階南側の「スカイテラス」では、京都タワーや東寺の五重塔、京都市の街並みを展望でき、目の前を東海道新幹線・JR京都線(東海道本線)・嵯峨野線(山陰本線)の列車が行き交う様子も楽しめる。

本館2階は体験型展示が充実

屋外展望デッキ「スカイテラス」から京都市の街並みや新幹線・在来線の列車も見ることができる

今回の報道関係者見学会では、本館をはじめ建物はほぼ完成し、展示車両もほぼ出そろったことが説明された。開業まで5カ月近く残していることもあり、施設内はこれから工事を進めるという場所も多かったが、車両に関してはすでに51両が展示されており、開業に向けた準備が着々と進んでいることをうかがわせた。

なお、京都鉄道博物館の公式サイトも開設され、今後は公式サイトやFacebookを活用した情報発信を行う。入館券の発売に関して、JR西日本のみどりの窓口での事前発売も検討しており、詳細は決まり次第、案内されるとのこと。

京都鉄道博物館のおもな展示車両など