日本銀行は18~19日に開催した金融政策決定会合において、当面の金融市場調節方針を決定した。資金供給量(マネタリーベース)を年間80兆円規模に増やす金融政策「量的・質的金融緩和」の継続を、賛成8人、反対1人の賛成多数で決めた。

テロの影響は「現時点では限定的」

木内登英審議委員は、これまでと同様に資金供給量および長期国債保有残高の増加額を年間45兆円規模に減額するよう提案したが、反対多数で否決された。

国内景気については、「輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられる」としながらも、「緩やかな回復を続けている」との判断を据え置いた。

予想物価上昇率については、「やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる」とする従来の表現に「このところ弱めの指標もみられている」との文言を付け加え、やや下方修正した。

景気の先行きについては、「緩やかな回復を続けていくとみられる」との見方を維持。リスク要因として、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、米国経済の回復ペースなどを挙げた。

日銀の黒田総裁は19日午後に開催された記者会見で、予想物価上昇率について「アンケートや指標の中でいくつか弱含んだ動きがみられる」としつつ、「やや長い目で見れば、全体として上昇しているという見方を変える必要ない」と述べた。また、フランス・パリで発生したテロの影響について「現時点では限定的」と話した。