あしたのチームは11月19日、ブレインコンサルティングオフィスとトーコンヒューマンリソースと共同で、中小・ベンチャー企業向けのアセスメントサービス「ホワイト企業パック」を開発、提供することを発表した。中小・ベンチャー企業以外に、上場前後の企業なども対象に同サービスを展開していくという。価格は100名までで98万円(税別)となっている。

新サービスは、「組織診断」、「労務監査」、「評価制度診断」、「採用力診断」の4つの面から診断・対策を行うことで、人材を活かして発展を遂げ、社会的に認められる"ホワイト企業"に導くというもの。

あしたのチーム 代表取締役社長 高橋恭介氏

あしたのチーム 代表取締役社長の高橋恭介氏は、サービス提供の背景について、次のように説明した。

「現在、政府はブラック企業対策を強化している。大手企業の現場の店長が書類送検される時代だ。また、従来労災認定の基準は時間外労働時間が1カ月あたり80時間以上という目安であったが、62時間49分で労災認定されているケースもあり、非常に厳しくなってきている。そうした中、若手社員の離職率が高まっており、これからは社員の不満要素をなくしていくのではなく、社員が真の満足感を得られるようにきちんと準備をしていく必要がある。現在有効求人倍率1.24倍、都内のベンチャー企業に特化すると3倍と言われており、この過酷な人材獲得競争の中で、いかに優秀な人材を獲得し、つなぎとめ、純増させていくかは企業にとって大きな課題である」(高橋氏)

不満をなくすのが衛生要因、真の満足感を得るには動機づけ要因が必要。ハーズバーグの動機づけ・衛生理論より

「組織診断」では、従業員調査から、企業が抱えている潜在的問題にスポットライトをあて、取るべき対策が明らかとなる。企業の成長・発展に必要な7つの視点で診断され、診断結果が提供される。7つの視点とは、意思決定スピード、価値観/方針の共有、人材の質と量、環境整備、PDCマネジメント、情報の共有と活用、評価と報酬となる。

「労務監査」では、労働基準監督署が調査で注目している、社員とのトラブルになりやすい、8分野80質問(もしくは9分野90質問)に関するアンケートが実施される。また、実地監査により、労働基準監督署、年金事務所が重点的に調査をするポイントがヒアリングされる。8分野は、募集/採用、労働時間/休憩/休日、賃金、社会保険、安全衛生、休暇/休業、退職、就業規則で、9分野目は従業員50名以上の特別分野となる。

「評価制度診断」では、人事評価制度診断により、現行制度の危険度や改善すべきポイントが明らかとなる。

評価制度診断における危険度項目

「採用力診断」では、「採用計画」、「採用広報」、「採用実務(応募)」、「採用実務(選考)」、「採用実務(内定)」の各項目についてのアセスメントが実施される。継続的に人材を採用し続け、存続できる企業となるために必要な改善策などが示される。

この4つの診断結果から、「ホワイト企業診断レポート」が提供される。企業が客観的に判断できるよう、評価指数も設定されるという。

「ホワイト企業パック」によって得られる、5つの効果と対応する診断

ブレインコンサルティングオフィス 代表取締役の北村庄吾氏は、「次の国会で労働基準法が改正される予定だ。次の改正では、フレックスタイム制が大幅に変わるだろう。また、勤務地・職種・短時間勤務など、限定正社員制度も導入される予定だ。近年めまぐるしく法改正が行われており、経営者も担当者も、自社が適正に労務管理できているかどうか、把握できない状況となっている。今回の新サービスは、新しいかたちの人事労務監査と捉えてもらいたい」とコメントした。

トーコンヒューマンリソース 代表取締役社長の堀川教行氏は、「採用力を構成するのは、求める人物に正しい情報を届け、必要な母集団を形成する『採用広報』と、求める人物を正しく選考し、魅力付けによって確実な入社へと導く『採用実務』の2つのプロセスが存在する。また、これらは法令遵守が大前提。このプロセスを可視化し、課題を抽出することで、取るべき打ち手が明確となる」とコメントした。

左から、ブレインコンサルティングオフィス 北村氏、あしたのチーム 高橋氏、トーコンヒューマンリソース 堀川氏