慶應義塾大学(慶大)は11月12日、抗酸化剤「N-アセチル システイン(NAC)」に腰痛の原因の1つである椎間板変性を抑制する効果があることを動物実験で明らかにしたと発表した。

同成果は同大学医学部整形外科学教室の松本守雄 教授、中村雅也 教授、藤田順之 助教らの研究グループによるもので、11月5日に英科学誌「Arthritis Research & Therapy」オンライン版で公開された。

椎間板変性とは椎間板が傷むことを言い、国内に3800万人の患者がいるとされるる変形性腰椎症では、ほぼ必ず椎間板変性が伴っている。 今回の研究では、椎間板変性に酸化ストレスが関与していることを発見。さらに、椎間板変性モデルラットにアンチエイジングのサプリメントで使用される抗酸化剤NACを経口投与することで、椎間板変性の進行が抑制されることを見出した。ラットへの投与量はヒトに換算してもサプリメントとしての内服量とほとんど変わりなく、今後、ヒトにおいて椎間板変性に対するNACの有効性を検証する予定だという。

同研究グループは現在、同研究成果の特許を出願中で、椎間板変性をはじめとする腰痛症の新たな治療薬としての可能性があるとしている。