環境への影響だけじゃない! 土地が汚染されると、人の体にはなにが起きる?

土壌汚染はどうして起こるの?

私たちがいつも当たり前のように口にする野菜や果物。そのほとんどは畑で育てられているものです。もしその畑が有害な物質で汚染されてしまったら、収穫される作物は、人の体にどのような影響をおよぼすのでしょうか?

近年、海の向こうの中国では、農産物の汚染が問題になっていますが、土や地下水が、有害な化学物質で汚染されることを「土壌汚染」といいます。環境問題の一つで、多くは、工場などから流れ出た化学物質や排水が、土に浸み込むことが原因となります。

また、埋め立て地を造成するために、別の場所から運んできた土が汚染されていた場合、埋め立て地だけでなく、地域一帯に汚染が広がることもあります。そのほか、化学肥料を使用していた農業用地や、ダイオキシンの排出が問題視されているゴミ焼却施設の跡地なども、汚染されてしまうことがあるようです。

汚染された土地の農作物や水が、健康被害を引き起こす

土壌汚染は、見た目だけではほとんど分かりません。一見、普通の土地と何も変わらないことが多いため、そこに家を建てて住んだり、田んぼや畑をおこして農作物を育てて食べたり、そこの地下水を飲料用や農業用に使ったり、といったことが起こり得ます。

植物は土壌の水分や栄養分を取り込んで育ちます。その際、汚染物質も一緒に吸収し、蓄積しながら成長していきます。そうして収穫された野菜や果物を口にし続けることで、私たちの体にも有害な汚染物質がたまり、健康を害することになるのです。汚染された飲料水を飲み続けることでも、同様のことが起こります。

土壌が汚染されて発生した健康被害として有名なのが、イタイイタイ病です。富山県神通川流域で1910年ころから1970年ころに多く発生し、四大公害病の一つとして、大きな社会問題になりました。原因となったのが、岐阜県の神岡鉱山から排出された廃水の中に含まれていた、カドミウムという金属です。カドミウムが流れ込んだ神通川の水から、農地が汚染されました。そこで育てたお米や野菜を食べ、汚染された水を飲んでいた人々が、イタイイタイ病を発症したのです。この病気にかかると、全身を激しい痛みが襲います。また、腎臓が正常に働かなくなり、カルシウムが体内に吸収されにくくなります。骨がもろくなるため、少し体を動かしただけでも骨折してしまいます。

多くの人々の生活環境を守るために必要な環境学

このような深刻な病気を引き起こしてしまう環境問題は、世界中で起きています。その種類は、土壌汚染以外に、水質汚染、大気汚染、森林破壊、地球温暖化、酸性雨などさまざまです。イタイイタイ病の患者のように、つらい思いをする人をこれ以上増やさないためにも、環境問題の発生を防ぐことはとても大切です。

環境問題の対策や改善などを研究する学問を「環境学」と言います。環境が人間や動植物におよぼす影響について、物理学、化学、生物学、地球科学、社会学、人文科学といった、いろいろな分野の知識を通して考えていくのです。

美しい地球を守るため、というと、なんだか遠い話に感じてしまうかもしれませんが、おいしい野菜や果物、魚、肉を食べられる生活を続けるための学問ととらえれば、急に身近になってきませんか? 環境学は、たくさんの人の生活を守るための、とてもやりがいのある分野といえるのではないでしょうか。


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