科学技術振興機構(JST)は11月10日、全国の中学生がチーム対抗で科学的思考力や技能を競う「第3回 科学の甲子園ジュニア全国大会」を2015年12月4日から6日までの期間、東京都・江東区のBumB東京スポーツ文化館で開催すると発表した。

科学の甲子園ジュニアは、中学生を対象に、「科学好きの裾野の拡大」、「未知の分野に挑戦する探究心や創造性に優れた人材の育成」、「考える力とコミュニケーション能力の育成」の3つを目的に開催されるもの。全国大会には、各都道府県ごとに実施されてきた予選大会(代表選考会)を経て選出された47チーム(1チーム6名構成)が参加。各地の代表選考会には、総計2万3000名(前回大会は約2万1000名)を超す生徒のエントリーがあり、内訳は、学年としては2年生が67.3%、1年生が32.7%、性別としては、男子が66.2%、女子が33.8%となっているほか、校種別で見た場合、国立が2.6%、都道府県立および市町村立が92.2%、私立が5.1%となっている。これを、全国大会282名のみで見た場合は、1年生が8.5%、2年生が91.5%、男子が85.5%(241名)、女子が14.5%(41名)、国立が28.0%、都道府県立が16.0%、市町村立が24.8%、私立が31.2%となっている(各都道府県選抜チームは、複数の中学校の生徒で混成されたチームも多数ある)。

競技概要としては、理科・数学などの複数分野において、実生活・実社会との関連・融合領域に配慮して出題され、生徒の修得済みの知識に加え、競技に新たに示された情報を活用して課題を解決するとしているほか、実技競技は、ものづくりの能力、コミュニケーション能力などを用いてチームで協働して課題解決するの能力を競うとしている。

ちなみに、2つある実技競技のうち1つは、事前公開競技として2つの事前課題が出されている。その競技名は「組み合わせ回路」で、いわゆる「AND回路」「OR回路」「NOT回路」を用いたデジタル回路を理解するというもの。事前課題の1つ目が論理回路を論理式を使って、単純化できるようにするというもので、2つ目は、論理回路を実際に組立できるようにするというもの。これらを踏まえて、競技当日は、提示される仕様に従って、回路の組み立てを行うこととなる。

事前に全国大会参加チームに配布されている実技競技「組み合わせ回路」関する公開資料。中身は論理回路の説明や、汎用ロジックICの回路構成やピン配置の考え方、ブレッドボードの説明などがわかりやすく記述されているが、電子工学の基礎を中学生に理解させるための苦心の後が各所に見受けられる

「組み合わせ回路」の実技を行うために事前に配布されたブレッドボードや汎用ロジックICなど。ちなみに汎用ロジックICは74シリーズ「7408」ならびに「744078」。同大会の協賛企業の1社である東芝製とのこと

参加は都道府県別の47チームだが、混合チームが多いため、参加校数は79(前回大会は80)となっている。また、長野県チームは前回と同じメンバーで構成されているほか、京都府立洛北高等学校附属中学校から参加する3名も前回と同じメンバーであり、香川県チームは全国最多の5校混成チームといったように、各チームともに色々と特色がある構成となっている。

都道府県 都道府県代表チーム所属校
()内は出場回数
北海道 北海道教育大学付属札幌中学校(初)
函館ラ・サール中学校(3回目)
青森県 弘前大学教育学部附属中学校(3回目)
岩手県 陸前高田市立高田東中学校(初)
岩手県立一関第一高等学校付属中学校(初)
宮城県 宮城県仙台二華中学校(2回目)
秋田県 秋田大学教育文化学部附属中学校(3回目)
大仙市立大曲中学校(初)
山形県 山形大学付属中学校(2回目)
福島県 福島大学附属中学校(2回目)
郡山ザベリオ学園中学校(初)
茨城県 茨城県立並木中等教育学校(3回目、前回大会優勝校)
栃木県 宇都宮大学教育学部付属中学校(初)
群馬県 明照学園樹徳中学校(初)
桐生市立清流中学校(初)
埼玉県 坂戸市立住吉中学校(初)
伊奈町立小針中学校(初)
千葉県 渋谷教育学園幕張中学校(2回目)
東京都 開成中学校(初)
中野区立第四中学校(初)
神奈川県 栄光学園中学校(2回目)
藤沢市立滝の沢中学校(初)
新潟県 佐渡市立佐和田中学校(初)
富山県 黒部市立高志野中学校(初)
富山市立新庄中学校(初)
高岡市立五位中学校(初)
富山大学人間発達科学部附属中学校(3回目)
石川県 白山市立白嶺中学校(2回目)
白山市立北辰中学校(初)
福井県 福井大学教育地域科学部付属中学校(2回目)
山梨県 山梨学院大学付属中学校(初)
駿台甲府中学校(2回目)
長野県 長野県諏訪清陵高等学校附属中学校(2回目)
岐阜県 各務原市立蘇原中学校(初)
静岡県 静岡大学教育学部附属浜松中学校(2回目)
静岡大学教育学部附属静岡中学校(初)
静岡大学教育学部附属島田中学校(初)
沼津市立大岡中学校(2回目)
愛知県 愛知県教育大学付属名古屋中学校(初)
三重県 暁学園暁中学校(2回目)
梅村学園三重中学校(初)
滋賀県 滋賀大学教育学部附属中学校(3回目)
立命館守山中学校(初)
京都府 京都市立西京高等学校付属中学校(2回目)
京都府立洛北高等学校附属中学校(3回目)
大阪府 大阪星光学院中学校(2回目)
大阪市立咲くやこの花中学校(初)
兵庫県 兵庫県立大学付属中学校(初)
加古川市立志方中学校(初)
奈良県 斑鳩町立斑鳩中学校(初)
和歌山県 和歌山県立向中学校(初)
鳥取県 鳥取市立湖南学園中学校(初)
鳥取大学附属中学校(3回目)
島根県 島根大学教育学部付属中学校(2回目)
開星中学校(3回目)
岡山県 岡山大学教育学部付属中学校(2回目)
広島県 広島学院中学校(初)
山口県 慶進中学校(初)
山口大学教育学部附属光中学校(2回目)
徳島県 徳島文理中学校(初)
鳴門教育大学附属中学校(3回目)
香川県 香川大学教育学部附属高松中学校(3回目)
高松市立紫雲中学校(初)
丸亀市立西中学校(初)、観音寺立大野原中学校(初)
香川誠陵中学校(初)
愛媛県 愛媛県立松山西中等教育学校(2回目)
愛媛大学教育学部付属中学校(初)
高知県 宿毛市立片島中学校(2回目)
福岡県 照曜館中学校(初)
久留米大学附設中学校(3回目)
佐賀県 松尾学園弘学館中学校(初)
佐賀県立武雄青陵中学校(初)
長崎県 青雲学園青雲中学校(初)
熊本県 鎮西学園真和中学校(初)
大分県 大分大学教育福祉科学部付属中学校(初)
宮崎県 宮崎県立宮崎西高等学校附属中学校(3回目)
鹿児島県 ラ・サール中学校(3回目)
沖縄県 昭和薬科大学付属中学校(2回目)

科学の甲子園ジュニアWebサイトでは、全国大会に参加する47チームの紹介が行われている。今回の開催発表では、恒例となった選手宣誓に関するくじ引きが行われ、結果、広島県チームが選ばれた。また、サプライズ映像として、ノーベル生理学・医学賞受賞者であり、京都大学のiPS細胞研究所(CiRA)所長を務める山中伸弥氏が登場。優勝チームには、研究所の見学ツアーをプレゼントすることも発表された