常陽銀行と足利ホールディングスは2日、同日開催したそれぞれの取締役会において、経営統合の実現を目指すことについて基本合意することを決議し、同日、両社の間で基本合意書を締結したと発表した。

両社によると、経営統合検討の経緯と目的は次のようなものとなる。

経営統合検討の経緯と目的

常陽銀行と足利ホールディングスの子会社である足利銀行は、茨城県、栃木県を中心とする北関東地域において、それぞれが、確固たる営業地盤を有する地域のリーディングバンクとして円滑な金融機能を提供している。

常陽銀行・足利銀行概要(常陽銀行と足利ホールディングス発表資料より)

両行の主要営業地盤である北関東地域は、首都圏に近接する地理的条件に加え、北関東自動車道や首都圏中央連絡自動車道、新幹線やつくばエクスプレス、茨城港や茨城空港などの交通インフラの整備を背景に、全国でも有数の企業立地地域として高いポテンシャルを有している。

一方、地域金融機関を取り巻く経営環境は、総人口減少、少子高齢化の進行といった社会構造変化による地方経済の縮小が懸念される中、資金余剰を背景とした金融機関同士の熾烈な競争も続いている。

また、経済のグローバル化やIT分野をはじめとする技術革新は、産業・社会構造に大きな変化を与えており、異業種からの進出が活発化し新たな金融競争環境を生み出すと同時に、金融サービスの広がりによる成長機会の創出にもつながっている。

このような経営環境の構造変化を見据えつつ、地域金融機関として地域の創生にこれまで以上に貢献し、顧客、地域とともに成長し続けていくには、両社が共通の理念のもと、能動的に協創力を発揮し、豊かさの創造を実現していくことが有効かつ有益と認識するにいたった。

こうした共通認識のもと、地域に根付いた双方のブランドネームをもとに協働し、統合による営業基盤の拡大と経営基盤の充実を図りつつ、経営資源やノウハウを相互活用して相乗効果を発揮していくことにより、単独ではなしえないスピードと高い質で、顧客、地域、株主の期待に応えることを企図し、経営統合の実現を目指すことを基本合意するにいたった。

経営統合の目的・理念・相乗効果

経営統合の目的・理念・相乗効果について、新金融グループは、両行が長年にわたり築いてきた顧客とのリレーション、地域への深い理解を維持・深化させながら、経営統合により形成される広域ネットワークなどを活かし、総合金融サービスの進化と業務効率化を実現していくとしている。

これにより、地域のリーディングバンク同士の融合でしかなしえない、より利便性が高く、質の高い総合金融サービスを提供していく。

また、地域振興・創生のけん引役としての持続的成長と株主・市場の期待に応える企業価値の向上を図るとともに、役職員の活躍機会の拡大と職務への誇り・喜びを高めるなど、各ステークホルダーから高い評価が得られるグループを目指す。

さらに、こうした目指す姿を共有できる他の地域金融機関にも開かれた金融グループとしていくとしている。

統合の形態

経営統合は持株会社方式によるものとし、早期の経営統合を図る観点から、すでに持株会社体制となっている足利ホールディングスを新しい金融グループの持株会社として活用する予定。

具体的には、両社の株主総会において経営統合に必要な事項の承認が得られること、経営統合を行うにあたり必要となる関係当局の許可などが得られることを前提として、2016年10月1日をめどに足利ホールディングスの商号を変更したうえで、常陽銀行が統合持株会社と株式交換を行い、経営統合を行う予定となっている。

統合の形態(常陽銀行と足利ホールディングス発表資料より)

なお、経営統合の形態については、今後両社で継続的な協議・検討の上、変更する可能性があるとしている。

経営統合後の統合持株会社の概要

今回の経営により、北関東を中心に331拠点を広域展開する、預金量約13兆円、貸出金約10兆円、有価証券残高約4兆円規模の国内地方銀行トップクラスの新グループが誕生する。

経営統合により、国内地方銀行トップクラスの新グループが誕生する予定(常陽銀行と足利ホールディングス発表資料より)