日本銀行は30日に開催した金融政策決定会合において、当面の金融市場調節方針を決定した。資金供給量(マネタリーベース)を年間80兆円規模に増やす金融政策「量的・質的金融緩和」の継続を、賛成8人、反対1人の賛成多数で決めた。一部で予想された追加緩和は見送られた。

物価目標2%達成時期、「2016年度後半頃」に先送り

木内登英審議委員は、これまでと同様に資金供給量および長期国債保有残高の増加額を年間45兆円規模に減額するよう提案したが、反対多数で否決された。

日銀は同日午後、2015年10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表。それによると、2%の物価目標を達成する時期について、従来の2016年度前半頃から2016年度後半頃に先送りした。

消費者物価指数上昇率の見通しについては、2015年度は0.1%(7月時点0.7%)、2016年度は1.4%(同1.9%)と、ともに前回から下方修正した。2017年度は消費増税の影響を除いて1.8%に据え置いた。

国内総生産(GDP)実質成長率の見通しについては、2015年度は1.2%と前回の1.7%から下方修正した。

黒田総裁は同日午後に開かれた記者会見で「(物価目標の達成時期が)後ずれしたのは主として原油価格の下落の影響によるもので、物価の基調は着実に改善している」とコメント。また「必要があれば躊躇なく追加緩和であれ調節を行う。その手段において限界があるとは全く思っていない」と話した。