11月13日に公開を控えるアニメーション映画『ハーモニー』の新たな場面写真と本予告映像が23日、公開された。

映画『ハーモニー』場面写真 (C)Project Itoh/HARMONY

本作は、『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』(15年)に続く「ノイタミナムービー第2弾」として発表された、故・伊藤計劃氏(享年34)が遺した3作の小説群を次々とアニメ化していく「Project Itoh」の一環として完成。同名の原作は、第40回星雲賞"日本長編"部門および第30回日本SF大賞を受賞し、伊藤氏の夭折後となる2010年には英訳版が刊行された。これによって日本のみならず、海外でも高い評価を獲得し、日本人で初めてフィリップ・K・ディック賞特別賞をも受けた。

そんな名実ともに伊藤氏の代表作のアニメーションを制作したのは、映画『ベルセルク 黄金時代篇』3部作や『鉄コン筋クリート』(06年)で知られるSTUDIO4℃。『AKIRA』(88年)で作画監督を務めた、なかむらたかし監督と『鉄コン筋クリート』のマイケル・アリアス監督の2人がメガホンを取った。主役の霧慧トァンを『月刊少女野崎くん』(14年)の瀬尾結月役や『ブラック★ロックシューター』(12年)の小鳥遊ヨミ役で知られる声優の沢城みゆきが担当するほか、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫らがキャストとして集まった。

物語の舞台は、極端な健康志向と調和を重んじる社会。欺瞞に満ちた世界に抵抗を示すため、かつて自殺を試みたトァンは、社会を恐怖へとたたき落とした犯行グループの"宣言"に、ともに自死を計画した少女・御冷ミァハ(上田)の影を感じ、それを確かめるために立ち上がる。

公開された場面写真は、血まみれになったトァンの顔をはじめ、意味ありげに背後を振り向くミァハの顔のアップを描いたもの。これらのほかに作品内の独自マークアップ言語で書かれた"ハレルヤ"の不吉な文字列の絵も並んでおり、正気を失ったディストピアを見せつける。本予告映像も同様に、調和の取れた社会を強要される異様な世界観の一端を収録。終盤では、「トァン行こう、『ハーモニー』の世界へ」と呼びかけられるとともに、「わたしの心が、幸福を拒絶した」というキャッチコピーが流れ、トァンが世界を捨て去ってしまったかのような不気味な演出がなされている。

なお、11月10日から23日にかけて秋葉原UDX内の東京アニメセンターでは、「Project Itoh展」を開催。ここでは、『屍者の帝国』(公開中)、『ハーモニー』、『虐殺器官』(公開日未定)の劇場アニメ3作品の中で、実際に本編で使われている生原画やさまざまな作品資料、キャラクター原案のredjuice氏の拡大イラストパネルなどが展示される。開館時間は、月曜日以外の11時から19時までで、入場料は無料。

映画『ハーモニー』場面写真 (C)Project Itoh/HARMONY