アデコは10月21日、日本全国の経営層を含む係長以上の管理職2,402人を対象に、「育児支援度」に関するインターネット調査を実施し、その結果を発表した。調査時期は2015年7月。

調査対象となった日本全国の経営層を含む管理職2,402人のうち、「育児中の部下(男女問わず)を持ったことがある」と答えた889人に対し、「育児中の部下に対して、これまでに育児休業の取得や時短勤務を推進し、育児支援をしてきたか」と質問したところ、66.3%(589人)が「はい」と回答。「いいえ」と答えたのは33.7%(300人)だった。

また、「育児支援に努めている」と回答した管理職589人に対し、「これまで実際にどのような育児支援に取り組んだか」を質問したところ、1位は「(女性社員に対して)育児のための時短勤務やフレックス勤務を積極的に取らせるようにした(58.9%)」、2位は「(女性社員に対して)育児休暇を積極的に取らせるようにした(57.0%)」、3位は「育児中の社員が残業しなくてすむよう仕事の量や内容を調整したり、在宅勤務を勧めるなどした(47.0%)」という結果となった。

一方、「(男性社員に対して)育児のための時短勤務やフレックス勤務を積極的に取らせるようにした」を選んだ回答者は11.9%、「(男性社員に対して)育児休暇を積極的に取らせるようにした」を選んだ回答者は11.2%と、わずか1割。

「これまで実際にどのような育児支援に取り組んだか(選択式・3つまで回答可)」n=589 資料:アデコ

「育児支援に努めている」と回答した管理職589人と、「育児支援に努めていない」と回答した管理職300人に対し、「日本企業がより一層『社員の育児支援』を進めていくために必要だと思うこと」について質問したところ、「育児支援に努めている」と答えた回答者が選んだ「必要なこと」の1位が「管理職以上の社員の意識改革(54.8%)」であったのに対し、「育児支援に努めていない」と答えた回答者が選んだ「必要なこと」の1位は「経営者の意識改革、あるいは育児支援を推し進めるリーダーシップ(40.0%)」であった。育児支援に対する姿勢と当事者意識に関連があることがうかがえる結果となった。「管理職ではない社員の意識改革が必要だ」と回答した割合も、「育児支援に努めている」と答えた回答者は28.5%、「育児支援に努めていない」と答えた回答者は16.0%という結果に。

「育児支援に努めている」と回答した管理職が選んだ「日本企業がより一層『社員への育児支援』を進めていくために必要だと思うこと(選択式・3つまで回答可)」n=589 資料:アデコ

「育児支援に努めていない」と回答した管理職が選んだ「日本企業がより一層『社員への育児支援』を進めていくために必要だと思うこと(選択式・3つまで回答可)」n=300 資料:アデコ

「育児支援に努めていない」と回答した管理職300人に対し、「これまで部下に対する育児支援に取り組まなかった理由」について質問したところ、年代別に見ると「必要性を感じなかったため」を選んだ割合がもっとも多かったのは「60歳以上」の53.1%で、半数以上が育児支援を必要だと考えていないことがわかった。また、「60歳以上」では「自分も育児参加せずに働いてきたため(18.8%)」という理由も、各年代で1番多い理由となった。

役職別で見ると、「必要性を感じなかったため」を選んだ割合がもっとも多かったのは「会長・社長(51.5%)」で、企業のトップの育児支援に対する意識の低さが明らかに。また、「社長・会長」の30.3%、「役員」の32.3%が、「これまで部下に対する育児支援に取り組まなかった理由」として「育児支援をするための財政的、人員的な余裕が会社にないため」を選んでいるのに対し、「部長」以下で同選択肢を選んだ割合は10%前後となっており、経営層と管理職における考え方の違いが浮き彫りにもなった。

さらに、「育児支援をするための財政的、人員的な余裕が会社にないため」を選んだ回答者の企業規模を比較したところ、社員数が1,000人未満になるとこの選択肢を選ぶ割合が急増している。

「部下に対する育児支援に取り組まなかった理由(選択式・3つまで回答可)の企業規模による比較」n=300 資料:アデコ