アドビ システムズは、同社のコーポレート・コミュニケーションブログ「Adobe Japan Corporate Communications Blog」において、同社が企業のマーケティング動向を定期的に調査して公開する「Adobe Digital Index」のゲーム産業に関する新たな調査「Gaming Trends 2015」のレポートを公開した。

ADIゲーム産業に関する調査「Gaming Trends 2015」

このたび行われた「Gaming Trends 2015」は、同社が企業のマーケティング動向を定期的に調査して公開する「Adobe Digital Index(以下、ADI)」において、多くのマーケターがまだ参入していない巨大市場であるゲーム産業を取り上げて調査したもの。

エンターテインメントソフトウェア協会によれば、米国では1億5,500万人もの人が、PC、モバイル端末、ゲーム専用機でビデオゲームを楽しんでおり、PwCは、2014年のゲーム産業の市場規模は150億ドル、2019年には196億ドルまで成長すると予想しているという。

今回のADIでは、興行収入の高い映画の公開日の収益と人気のビデオゲームの発売日の収益を比較。公開日に史上最高の興行収入を挙げた「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」の収益が9,100万ドルであったのに対し、ゲーム「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」の売上高は、発売初日に1億7,900万ドルを超えたという。また、ビデオゲームは伝統的なスポーツをもしのぐ勢いで、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)ゲームは高い人気を誇っているということだ。

これについてADIのプリンシパルアナリスト、タマラ・ギャフニー氏は「ゲーム産業は、大半のマーケターが認識しているよりもはるかに巨大です。ゲームの発売初日のソーシャル上での話題は、映画よりはるかに大きく、今年売れたゲームの中には、公開日に最高収入を挙げた映画のほぼ2倍の売上に達したものもあります。」とし、「特に、6,700万人のユニークプレイヤーを持つMOBAゲーム『League of Legends』は、巨大な無料オンラインゲームコミュニティに成長しました。」と述べている。 消費者はゲーム業界に関する情報をソーシャルメディアから得ており、Facebookの「いいね!」の数で比較すると、MOBAゲームは今やNHLやNFLだけでなく、アメリカ人にとっての最大の娯楽だあったMLBより人気が高いことも判明したとしている。

ADIでは、2014年~2015年にかけてのゲームサイトのアクセス数が40億件を超えていることや、ゲーム関連グッズのオンラインベースの売上高に着目。集計データと匿名データに基づいた分析結果では、2015年8月におけるゲームサイトへのアクセス数は、デスクトップからは2014年比10%増加、タブレットからは同23%増加したという。ADIでは、今年のクリスマスシーズンには15%の販売増が見込めると予想しているが、毎年米国で開催される世界最大のゲーム見本市「E3」開催中の6月もゲーマーの購買意欲が盛んになるとしている。

また、ADIのアナリスト、アダム・ロイド氏は「ゲーム産業が次向かう先はVRである」とし、例としてマイクロソフトのHoloLens、HTCのVive、ソニーのMorpheus、オキュラスのRiftなどを挙げている。ギャフニー氏は「ゲーミングプラットフォームやVRは、マーケターにとって広告よりも優れたプロダクトプレイスメントの機会であると私は見ています。VRの観点からすると、マーケティングの機会は無限に広がっています。小売り、不動産、CPG、レストランチェーンなどの産業がVR空間でどのように恩恵を享受し、創造力を発揮できるか考えてみてください。そして、ゲーマーの数が着実に増えていくのに伴い、ビデオゲームのマーケティングは、そのオーディエンスの規模だけでなく、貴重なミレニアル世代や1995年以降生まれのZ世代の視聴者に訴求できる場となるでしょう。つまりゲーム産業は、デジタルマーケティングの次の大きなトレンドになる可能性があるのです。」とコメントしている。

なお、今回の調査期間は2014年~2015年。調査ツールはAdobe Social、Adobe Analytics。言及データ数は2,000万件以上。対象ソーシャルメディアおよびブログは、Facebook、Google+、Reddit、Twitter、Dailymotion、Flickr、Instagram、Tumblr、VK、Disqus、Foursquare、Metacafe、Wordpress、YouTube。