スカイマークは10月9日、証券取引等監視委員会から同社元役員による内部者取引について、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の事実が認められたとし、課徴金納付命令の勧告が行われたことを発表した。

A380型航空機売買契約の解除の公表前に、社株式合計1万8,600株を売付価額合計522万6,600円で売り付けた

これまで同社は、社内規程に基づき自社株式の売買に関して、売買自粛期間制度や事前申請制度などの独自規制を設け、コンプライアンス教育などを通じて法令順守の体制を整えるなどにより、インサイダー取引防止に取り組んでいた。今回の勧告に関して同社は、「退任後の行為についてとは言え、当社元役員についてこのような事態に至ったことは誠に遺憾であり、関係者の皆様に、深くお詫びを申し上げます」とコメントしている。

勧告によると、課徴金納付命令の対象者である同社元役員は、債務不履行状態を解消できる見込みのない同社にエアバス社製A380型航空機売買契約の解除がほぼ確実になったことが、同社の運営や業務、財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす事実であることを知り、上記事実の公表前の2014年7月16日および同月17日、自己の計算において同社株式合計1万8,600株を売付価額合計522万6,600円で売り付けた、としている。

この行為が、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当するものと認められた。上記の法令違反に対し、当該元役員が金融商品取引法に基づき、納付を勧告されている課徴金の額は238万円となっている。

今回の同社元役員はすでに任期満了により退任をしている。同社は2015年、民事再生法の適用を申請したことに伴い、3月1日付で東京証券取引場第一部からの上場廃止となった。また、9月1日付で確定した当社再生計画に基づき、全ての発行済株式の無償取得が行われ、9月29日開催の当社取締役会決議に基づいて当該株式の消却がすでに行われている。

同社は今度に対し、「民事再生手続下において今後再建を目指す上でも、改めて社内規程の遵守徹底を図るとともに、全役員・従業員のコンプライアンス教育の一層の充実を図って参ります」としている。