アイデムの研究部門である「アイデム人と仕事研究所」は、企業1,178社と労働者1,814名を対象に「限定正社員」に関する調査を実施した。調査期間は、2015年6月12日~16日、25日~29日。

33%の企業は「限定正社員に該当する従業員がいる」

「限定正社員」とは、仕事内容や勤務地、労働時間などが限定された正社員のことを指す。企業に、限定正社員の有無と導入の意向を尋ねたところ、「該当する従業員がいる」は33.4%だった。

限定正社員の有無と導入の意向

「該当する従業員はいないが、会社のしくみ・制度上では就業可能」は15.6%、「該当する従業員はおらず、会社のしくみ・制度上では就業不可能であるが、導入に興味がある」は13.5%、「該当する従業員もおらず、会社のしくみ・制度上も就業は不可能で、導入に興味もない」が37.4%となった。

企業側のメリットは「人件費が抑えられる」が最多

企業に、正社員区分が複数ある働き方についてのメリットを聞いたところ、「人件費が抑えられる」が最も多かった(28.1%)。「限定正社員がいる」「限定正社員はいない」企業で大きな差が出た項目は「メリットはない」で、「限定正社員がいる」企業の方が22.1ポイント低い。

一方 、「限定正社員本人のモチベーションが向上する」は11.5ポイント、「業務に習熟した人材が定着する」は10.5ポイントと、それぞれ「限定正社員がいる」企業の方が高くなっている。「限定正社員がいる」企業の各メリット項目に対する回答も多いことから、正社員区分が複数ある働き方の導入に、満足していることがうかがえる。

正社員区分が複数ある働き方についてのメリット

雇用調整を行う場合 、限定正社員は解雇しやすいと思うかと聞いたところ、「正社員よりも解雇しやすい」は8.4%、「どちらかと言えば、正社員よりも解雇しやすい」が23.2%で、合わせると企業の31.6%が「正社員よりも解雇しやすい」と回答している。一方、「解雇のしづらさは正社員と変わらない」は68.4%だった。

雇用調整を行う場合 、限定正社員は解雇しやすいと思いますか?

限定正社員を「聞いたことがない」は6割

個人の回答者全員 に、限定正社員という働き方を知っているかを聞いたところ、「聞いたことがあり、内容 も知っている」が11.5%、「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」が24.9%で、あわせると36.4%が、限定正社員の働き方を「聞いたことがある」と回答した。一方、「聞いたことはない」は63.6%と6割を超えている。

現在正社員で働いている人に、今後も正社員で働き続けるにあたり、今までの働き方では働き続けられない事情が生じた場合、限定正社員のような働き方は正社員として継続就業するのに有効か尋ねた。すると、「有効だと思う」は51.1%、「有効ではないと思う」は13.8%となった。

今までの働き方では働き続けられない事情が生じた場合、限定正社員のような働き方は正社員として継続就業するのに有効だと思いますか?

現在正社員で働いている人に、限定正社員という働き方が今後整備された場合、限定正社員として働きたいか尋ねた。「職種限定正社員」では、男性は「働きたい」20.6%、「働きたくない」31.8%。女性は「働きたい」31.3%、「働きたくない」23.0%で、女性の方が働きたいという意向が強い。

「勤務地限定正社員」については、男性は「働きたい」31.8%、「働きたくない」26.0%。女性は「働きたい」45.0%、「働きたくない」16.6%だった。「勤務時間限定正社員」は、男性は「働きたい」22.0%、「働きたくない」31.8%。女性は「働きたい」36.4%、「働きたくない」20.8%となっている。