ルネサス エレクトロニクスは9月29日、車載情報システム向けSoCプラットフォーム「R-Car」の新シリーズとして、車車間・路車間通信(V2X:Vehicle-to-Everything)向け車載無線通信SoC「R-Car W2R」を開発したと発表した。

同製品は、欧州ならびに北米地域のITS向け通信規格であるIEEE 802.11pに準拠した5.9GHz帯域の車車間通信(V2V:Vehicle-to-Vehicle)および路車間通信(V2I:Vehicle-to-Infrastructure)向けSoCで、独自のRFシステム設計技術により、LSIから発生する信号ノイズとなる送信帯域外雑音を-65dBm以下に抑えることに成功。これにより、混線の少ない高品質な信号の送信がさまざまな道路状態において可能となり、例えば周波数が近い欧州版ETCへの干渉を最小限に抑え、共存が可能になるとする。

また、独自のアナログ回路の小型化設計技術と、デジタル回路から発生する雑音がアナログ回路へ与える影響を高精度に解析できるアナログデジタル混載設計技術により、RFから物理層、データリンク層までの通信機能を10mm角の176ピン Plastic FPBGAに1チップ化している。

さらに、既存のR-Carプラットフォーム「R-Car E2」と組み合わせたV2Xスタータキットも用意。パートナー各社の提供するソフトウェア群と組み合わせることにより、短期間での実証試験環境を構築することが可能だ。

なお、同製品は10月1日よりサンプル価格は3000円(税別)でサンプル出荷を開始予定。量産は2016年12月より開始する予定で、2018年12月に月産5万個の出荷を計画している。

10cm角のFPBGAパッケージを採用した「R-Car W2R」。フルCMOS 90nmプロセスを採用して製造される

W2Rを搭載した小型モジュール搭載評価ボード。価格は約8万円としている

V2Xスターターキット。SDIOインタフェースで評価モジュールと接続する。標準価格として約20万円とのこと