フィギュアスケート・羽生結弦選手は長い手足が特長だ

前回は私が憧れる体形の女性フィギュアスケーターについてご紹介しました。「脚がスラッとしているスケーター」という観点からキム・ヨナさん、アリッサ・シズニーさん、カロリーナ・コストナー選手、浅田真央選手について触れました。

今回は男性バージョンとして、「もしも私が男性だったらこんな体形になってみたい」と感じるフィギュアスケーターとその理由についてお話します。

エヴァン・ライサチェク

まずはアメリカ出身で、バンクーバー五輪金メダリストのエヴァン・ライサチェク選手です。身長188cmと非常に背の高いスケーターです。手足も長く、氷に立つと見栄えがします。身長が高いと、ジャンプで回転をする際に軸がブレやすくなるのですが、細い軸でジャンプをしているというイメージがあります。

エヴァン選手と初めて会ったのは、2003-2004シーズンのジュニアグランプリシリーズの日本大会でした。フリーの演技後、表彰式までのわずかな時間で会場内をジョギングし、念入りにクールダウンをしていた姿が印象的でした。試合後のクールダウンなど、ジュニア時代から身体のメンテナンスに気を遣ってきたからこそ、日ごろの成果が実り、オリンピックの金メダリストになったのではないでしょうか。

ジェレミー・アボット

次はジェレミー・アボット選手です。アメリカ出身で顔が小さく、手足が長いのが特長です。4回転ジャンプや、スピンのポジションの美しさなどがジェレミー選手の持ち味だと思いますが、その良さを引き立たせるようなスケーティングが一番の持ち味ではないかと思っております。

演技中に次のエレメンツが気になり、演技全体がつながっていない印象を受けるスケーターも時には見られます。ただ、ジェレミー選手は全く逆で、エレメンツを含めたすべてが一つの演技といった印象を受けます。エレメンツ間のスピードも落ちず、スピン前後もすぐにスピードに乗って演技をするなど、難しいことを難しく見せない点がすばらしいと思います。

羽生結弦

そして、羽生結弦選手です。羽生選手が憧れの体形だということは共感してくださる方も多いのではないでしょうか。日本人男子スケーターは身長が低めの選手が多く、羽生選手もズバ抜けて身長が高いというわけではありません。しかし手足が長いため、実際の身長よりも高く見えます。

羽生選手のことはノービス時代から強化合宿などを通じて知っていますが、その頃から身体も柔らかく、ジャンプも安定しており、目をひく存在でした。私が現役の頃、強化合宿中に羽生選手が初めてトリプルアクセルを着氷し、私もその「初めての瞬間」を目撃しましたが、幅と流れの見事なジャンプを見て感動したのを覚えています。強化合宿は夏でしたが、シーズンが始まる秋にはトリプルアクセルの成功率を上げていて、新しい技をすぐに自分のものにできるすばらしい選手なのだなと感じました。

昨シーズン終盤、僅差で世界選手権での金メダルを逃し、最後には少し悔しい思いをしたことでしょう。ただ、その悔しさをバネに、より飛躍的な活躍を見せてくれることを願っています。

より多くの人にフィギュアを知ってもらう

今回と前回にわたり、「体形」という視点からフィギュアスケーターをご紹介させていただきました。フィギュアスケートを見始めるきっかけは人それぞれです。その"入り口"がルックスやスタイルという人もいるでしょうが、きっかけはどうであれ、フィギュアスケートという競技をもっと多くの方に知っていただければ幸いです。

筆者プロフィール: 澤田亜紀(さわだ あき)

1988年10月7日、大阪府大阪市生まれ。関西大学文学部卒業。5歳でスケートを始め、ジュニアGP大会では、優勝1回を含め、6度表彰台に立った。また2004年の全日本選手権4位、2007年の四大陸選手権4位という成績を残している。2011年に現役を引退し、現在は母校・関西大学を拠点に、コーチとして活動している。