東日本大震災の直後は防災意識が高まったものの、時間の経過と共に、それも薄れつつあるのでは? いつ起きてもおかしくないと言われる大震災に備え、改めて防災対策についておさらいしてみましょう!

もし職場にいる時に、地震が起きたら、どうすればいいのでしょうか?

「小さな揺れや緊急地震速報で、すぐに避難経路を確保し、"安全ゾーン"に移動しましょう。安全ゾーンとは、転倒落下物が少なく、閉じ込められない階段のそばなどです。1995年に起きた阪神・淡路大震災の際、死因の多くは古い木造家屋やビルなどの倒壊による圧死でした。避難の余裕がない場合やそれしか方法がない場合はデスクの下でも良いと思いますが、できれば部署別に定めた安全ゾーンへの避難を心掛けるべきです」

こう話すのは、防災アドバイザーの山村武彦さん。自身の安全を確保したら、次は同僚の安全確認を行いましょう。

「緊急連絡網は、フィッシュネット方式が効果的です。この方法を使えば、必要以上に電話をしたり、メールをしたりしなくて済みます。月1回ぐらいは連絡を取る練習をしましょう」(山村さん 以下同)

フィッシュネット方式とは、1人が複数人に連絡し、更に連絡を受けた人がほかの複数人に連絡する方法です。漁網のように、たとえ1本糸が切れても大きな穴が開かないよう、縦横斜めの双方向に連絡していきます。ただし、誰が誰に連絡をするのか事前に決めていないと効力を発揮しません。同じ部署の人同士など、緊急連絡網をどうするのか話し合っておくことが大切です。

また、震災に備えて防災グッズを用意しておくことも重要です。

「衝撃防止材の入ったセーフティハットや懐中電灯、携帯電話の充電器、ラジオなどを1セットにし、デスクの横にかけておくといいでしょう」

ちなみに、東京都の企業は東京都帰宅困難者対策条例で3日分の食料の備蓄などが義務づけられています。とはいえ、中小企業の場合はそこまで手が回らないことも事実。余裕があれば、3日分の食料も個人で用意しておくといいかもしれません。

「企業によっては、安全行動マニュアルがあるので、防災の日をきっかけに目を通し、震災時のシミュレーションをしましょう。ない場合は、避難経路や安全ゾーンはどこかを各自で調べておくといいですね」

日ごろ、練習していないことは緊急事態には行動できないと言います。いつ起こるか分からない震災に向け、万全の準備をしましょう!


山村武彦
学生時代、新潟地震(1964年)でのボランティア活動を契機に防災アドバイザーを志す。以降、現場主義(真実と教訓は現場にあり)を掲げ、地震、津波、噴火、水害、竜巻、土砂災害、事故、事件など250カ所以上の現地調査を行う。現在、執筆や講演活動、マスコミ出演などを通じ防災・危機管理意識啓発に活躍中。

(名久井梨香+ノオト)

※この記事はシゴトサプリより提供を受けています