岡山大、コオロギの脚が切断されても元通りに再生する仕組みを解明

 

岡山大学は9月17日、切断されたコオロギの脚が元の形に再生する仕組みを解明したと発表した。

同成果は同大学大学院自然科学研究科の濱田良真氏、富岡憲治 教授、医歯薬学総合研究科の板東哲哉 助教、大内淑代 教授らの研究グループによるもの。9月1日に英科学誌「Development」に掲載された。

フタホシコオロギの幼虫の脚を切断すると、脱皮を経て元の形に再生する。再生過程は傷口の修復、再生芽(再生する組織の元となる細胞の塊)の形成、再パターン形成(元の形態への形作り)に分けることができる。これまで、再生芽や再パターン形成にはエピジェネティック因子が関与していると考えられていたが、再生した脚が元の形に作り直される仕組みはわかっていなかった。

今回の研究では、再生芽で働いているエピジェネティック因子E(z)とUtxに注目。E(z)の働きを阻害した個体では余分な脚節が形成され、Utxの働きを阻害した個体では一部の関節が形成されなかった。さらに、E(z)阻害個体では脚節の形作りに必要な遺伝子が働く領域が拡大し、Utx阻害個体では関節の形成に必要な受容体の働きが一部で消失することを発見した。これらの結果からE(z)とUtxがヒストンというタンパク質を化学修飾することで、パターン形成遺伝子の働きを制御し、元通りに再生するように調節していると結論付けられた。DNAの化学修飾は脊椎動物などでしか使用されないが、ヒストンの化学修飾は単細胞生物の酵母からヒトまで使用されている普遍的なメカニズムだという。

近年、エピジェネティックなメカニズムとiPS細胞へのリプログラミングの関連も判明しつつある。同研究グループは、今後再生能の高い生物から「失われた組織を正確に修復する普遍的なメカニズム」を学び、iPS細胞などで臨床応用するための段階を登ることで、最終的な夢であるヒトでの再生医療が可能になることが期待されるとしている。

コオロギの脚再生過程(左)、コントロールとE(z)機能阻害個体の再生脚(右)



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