気象庁は8月27日、「噴火警戒レベル4」(避難準備)に引き上げた鹿児島県の桜島に対し、最新の活動状況を発表した。昭和火口では8月23日06:04のごく小規模な噴火以降、噴火は観測されておらず、規模の大きな噴火が発生する可能性は8月15日時点に比べて低下していると考えられるという。

桜島の噴火警戒レベルに対応した規制範囲

「噴火警戒レベル4」に引き上げられた8月15日時点では、島内を震源とする地震が多発し、桜島島内に設置している傾斜計および伸縮計では山体膨張を示す急激な地殻変動が観測されていた。

そのため、桜島では規模の大きな噴火が発生する可能性が非常に高まり、昭和火口および南岳山頂火口から3km以内の鹿児島市有村町および古里町では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に厳重な警戒(避難等の対応)を呼びかけている。また、風下側では降灰および風の影響を受ける小さな噴石(火山れき)に、降雨時には土石流に注意を促し、鹿児島市全体に厳重な警戒を呼びかけている。

桜島の噴火警戒レベル

8月27日10:00の福岡管区気象台・鹿児島地方気象台による発表によると、桜島では南岳直下付近を震源とする火山性地震が引き続き観測されてはいるものの、昭和火口では8月23日06:04のごく小規模な噴火以降は噴火は観測されておらず、また、南岳山頂火口では噴火は観測されていないという。8月26日に実施された現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり200t(前回23日100t)と少ない状態となっていた。

8月15日~16日にかけての火山活動は、南岳直下にマグマが急激に貫入して発生したと考えられ、これまでのところ貫入したマグマが火口近くまでさらに上昇することを示す兆候はみられていないという。そのため、規模の大きな噴火が発生する可能性は8月15日時点に比べて低下していると考えられるが、再びマグマ貫入がある場合などには、桜島の火山活動の活発化は避けられないものと発表している。なお、防災上の警戒事項等は8月15日時点と同様の警戒を呼びかけている。