日本IBMは8月24日、Linux専用のメインフレームサーバ「IBM LinuxONE」を発表した。 Apache Spark、Node.js、MongoDB、MariaDB、PostgreSQL、Chef、Dockerなどのクラウドやビッグデータにとって重要な最新オープンソース・ソフトウェアを採用し、LinuxディストリビューションはSUSE、Red Hat、Ubuntuが使用可能。

「IBM LinuxONE」

これらに対しては、IBMがオープン・ソースエコシステムチームを作り、オープンソースの開発・コンパイル、ポーティング、テストを行い、テスト済みパーケージはオープンソースコミュニティのレポジトリ上で公開される。

LinuxONEのパッケージ開発と管理

LinuxONEには、IBM z13をベースとする大規模システム向けの「LinuxONE Emperor」と、 IBM zBC12をベースとする中規模システム向けの「LinuxONE Rockhopper」がある。

スケーラブルの面では、ハイエンドのEmperorは、z13またはzEC12と同等で350~8、000台の仮想サーバに対応。ミッドレンジのRockhopperは、EC12と同等で40~600台の仮想サーバに対応する。ハードウェア的には、z13またはzEC12と違いはない。

LinuxONEの概要

日本IBM IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ソリューション事業部 シニアITスペシャリスト 北村圭氏

日本IBM IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ソリューション事業部 シニアITスペシャリスト 北村圭氏は、「エンタープライズレベルのオープンエコシステムを実現したのがLinuxONEの価値だ。プラットフォームの垣根がなくなり、最適な基盤でアプリケーションを動作させることができ、ハイブリッドシステムを具体的に利用できる。 お好みにあわせてOS、ミドルウェア、開発環境を選択でき、OpenStackによって統一管理できる」と説明した。

セキュリティ面では、ハードウェアで暗号化処理に対応し、災害対策として、全自動で瞬時に災害対策サイトへの切り替えが可能となっている。また、ログ情報を自動分析し、システムの潜在的問題や予兆を自動検知する。

LinuxONEのセキュリティ機能

日本IBM 理事 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ハイエンド・システム事業部長 朝海孝氏

日本IBM 理事 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ハイエンド・システム事業部長 朝海孝氏は、「LinuxONEはIBMのオープンソースの取り組みをメインフレームにまで広げたものだ。現在では、Linuxはいろいろな用途で使われ、とくにオープンソースの活用が浸透している。ただ、基幹業務の実績が少なく、その制限を解放し、利活用を進めるために今回発表した。LinuxONEは、Zシステムのテクノロジーを活用し、Linuxにフル対応した製品だ。今回、月額従量課金も始め、小さく始めて、大きく育てられるように、月額98万円~提供する」と語り、z13またはzEC12との違いは、月額従量課金に対応した点だと説明した。

LinuxONEのターゲットユーザーとしては、いままで、オープンソースの稼働がネックとなってアプローチできなかった他社システムの置き換えや、システム統合、オンプレミスでクラウド、アナリティクス、モバイル、DevOpsを新規に立ち上げる顧客向けに提供していくという。

そのための営業施策としては、クラウド事業者担当営業部におけるLinuxONEの取り扱い開始するほか、エンタープライズ系のオープン・ソース担当要員の増強を行うという。

また、同社はオープンソース・コミュニティーの開発者によるイノベーションを促進するため、IBMはLinuxONE Developer CloudでIBMメインフレームLinux環境へのアクセスを提供。LinuxONE Developer Cloudは、モバイル・アプリケーションやハイブリッド・クラウド・アプリケーションへの接続テストなど、新たなアプリケーションの作成、テスト、およびパイロットを目的とした、研究開発向けクラウド環境で、マリスト大学やシラキュース大学などの提携大学のLinuxONE環境を利用して無償で提供される。

LinuxONE Developer Cloudを提供