IDC Japanは8月19日、国内中堅中小企業IT市場における販売チャネル別の動向調査結果を発表した。同調査は、4月に実施した「国内中堅中小企業ユーザー調査」の結果、ITベンダー、SIer、販売代理店などへのヒヤリング調査の結果をまとめたもの。

これによると、PCおよび通信機器においては「販売代理店」経由での導入の割合が高い一方、サーバ、ストレージ、周辺機器(プリンタ、複合機など)、パッケージ・ソフトウェアでは「ベンダー(営業担当者)」「SIer」経由での導入の割合が高いことが明らかになった。

PCや通信機器は、小規模企業を含め多くの企業で導入されているほか、導入が比較的容易なことから「販売代理店」経由での導入が多いと見られている。

一方、サーバ、ストレージ、パッケージ・ソフトウェアは、システム構築作業と並行して導入されるケースが中心となることから、「ベンダー(営業担当者)」「SIer」経由での導入が多いと見られている。

周辺機器は、多くのプリンタ・ベンダーが全国に拠点網を持ち、販売・保守・消耗品の補充を行っていることから「ベンダー(営業担当者)」の割合が高くなっている。

また、中堅中小企業向け販売代理店やSIerは、ハードウェアの低価格化と仮想化/統合化など利用拡大による需要減少の影響をカバーするために新しい商材を模索しているが、その1つとして、モバイルやクラウドを活用したソリューションの取り扱いを積極的に推進しており、ベンダーや通信事業者も中堅中小企業向けにモバイルやクラウドを活用したソリューションの提供および支援を強化しているという。

クラウドを活用したソリューションの提供においては、従来の取引ベンダーではなく、外資系クラウド・ベンダーなどと新たに取引を開始するケースも増えており、既存の販売チャネル網に影響を与える可能性があると指摘している。

中堅中小企業向けにモバイルやクラウドを活用したソリューションを展開するにあたって、販売代理店やSIerがユーザー企業のニーズに合致した提案を行うには上流工程からの参画が重要になるが、ノウハウがないため期待通りの成果が得られないケースが多くあるという。

ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は「ITベンダーは、パートナー企業に対して上流工程からの参画を可能にするため、ベストプラクティス事例などノウハウの積極的な提供が今後のパートナー支援に求められる」と分析している。

国内中堅中小企業IT市場 製品別/販売チャネル別 支出額構成比予測、2015年 資料:IDC Japan