住友生命保険(以下、住友生命)は11日、米国の上場生命保険グループである「Symetra Financial Corporation(以下シメトラ社)」を買収する手続きを開始することについて、シメトラ社と合意したと発表した。今後、シメトラ社株主総会での承認や、日米監督当局による認可などを条件に、シメトラ社は住友生命の完全子会社となる予定だという。このたびの買収手続きの完了は2016年第1四半期または第2四半期初めを予定している。なお、同件買収は、友好的なものであり、シメトラ社の取締役会は同件買収について、全会一致で賛同しているという。

財務基盤・収益基盤はより堅固なものとなると確信

住友生命は、2014年4月に公表した2014~2016年度の中期経営計画「スミセイ中期経営計画2016」において、顧客サービスの充実や経営全般にわたる品質の維持・向上を通じて「お客さまにとっての価値向上」を図りながら、経営資源を営業職員、金融機関等代理店、保険ショップ、海外事業といった成長分野に振り向けていくことを掲げており、住友生命グループ全体で成長路線を確固たるものとすることを目指しているという。とりわけ海外事業については、同社グループの収益基盤の多様化、企業価値の持続的向上に資することを目的として、中国、ベトナム、インドネシアの既存投資先に対して、商品開発、販売チャネル、IT、リスク管理などの技術援助に取り組んでいるとしている。このアジアでの生命保険事業の経験を活かして、世界の保険料収入の約2割を占める世界最大の生命保険市場である米国への進出について、調査・研究などを進めてきた。

シメトラ社は、米国全土で事業展開し、バランスの取れた事業ポートフォリオに基づく安定した収益性、業界経験豊富な経営陣の卓越したリーダーシップによる高い成長性、保守的な資産運用方針等に基づく高い健全性を有する米国の生命保険グループだという。加えて、シメトラ社は保険事業を通じて顧客に最適な保障とサービスの提供に取り組んでいる住友生命と共通の経営理念を持つ会社だとしている。

住友生命は、このたびの買収により海外事業からの収益規模が拡大することで、収益基盤の多様化が図られると同時に、アジアと米国のバランスの取れた海外事業ポートフォリオの構築が可能になることから、同社の財務基盤・収益基盤はより堅固なものとなると確信しているという。

2016年第1四半期または第2四半期初めに買収手続きおよび完全子会社化を完了

買収金額は、約3,732百万米ドル(約4666億円)(1株あたり32.00米ドル(4,000円)。同買収価格は、シメトラ社の8月6日までの過去1ヶ月の平均株価に対し、32.4%のプレミアム、直近株価(米国時間8月6日終値)に対し、30.8%のプレミアムを加えた金額になるという。住友生命は、シメトラ社の事業内容や資産内容などについて慎重かつ詳細に分析を重ねた結果、この買収価格が公正かつ妥当なものであると判断したとしている。1米ドル=125円で換算。

このたびの買収のための資金については、住友生命の手元資金で対応する。なお、同社は、同件買収後も引き続き高い健全性を維持するとしている。

同件買収は、住友生命が米国デラウェア州に特別目的会社を設立し、シメトラ社と合併させる手法で行うという。合併は、シメトラ社株主総会の承認および日米監督当局、米競争法当局の認可などを条件に成立し、合併後の存続会社はシメトラ社となるという。この手続きを通じて住友生命は、シメトラ社の既存株主へ現金対価を支払うことにより、シメトラ社の全株式を取得するとしている。

スケジュールに関しては、今後速やかに手続きを進め、2016年第1四半期または第2四半期初めに買収手続きおよび完全子会社化を完了する見込みとしている。