ソフトバンクグループが6日に開催した2016年3月期の第1四半期決算会見で、同社の孫正義代表は、自身の後継者に対する考え方を改めて示した。

ソフトバンクグループの孫正義代表

2015年3月期決算発表会の席で、自身の後継者をニケシュ・アローラ氏とすることを公言した孫代表だが、今回の決算会見の質疑応答で、孫代表はかねてから60代で後継者にバトンを渡すと公言してきたが、それはいつかと問われると、同氏は次のようにコメントした。「まだわからないですね。でも、60代でバトンを渡すのは10代の頃に決めていましたから、60歳から69歳までのどこかでということになるでしょう」。

続けて同氏は「前回ニケシュ・アローラが後継者の筆頭候補であると話しましたが、彼がこの一年で投資した会社の評価益だけで500億円を超える。ニケシュをM&Aしたと思えば、もうリターンがきた」と話した。この発言は、ニケシュ氏の役員報酬は半年で165億円とされ、投資した会社の評価益と、報酬の差額を考えてもソフトバンクグループにとっては、プラスであることを意味すると思われる。

さらに「彼はGoogleで実質ナンバー2として経営していた立場の人。ファイナンス、テクノロジー、投資のすべてにおいて才覚がありますし、年齢も私より10歳若いく、彼の正義感、人柄も抜群であると思っています」とニケシュ氏の能力、性格についても高く評価した。

最後に、同氏は後継者問題を400メートルリレーにたとえ、400メートルリレーでバトンを渡すときに、次走者がバトンを待っているのは下手なやり方だとし、「スムーズなバトンの渡し方というものがある」と主張した。

8月に58歳になる孫代表。少なくともあと2年強は後進に道を譲る考えはないようだが、同氏が述べたニケシュ氏への評価を聞けば、人柄、能力、ソフトバンクグループでの実績も十分。バトンを渡せる準備はすでに整っているようだ。