米BroadVisionの日本法人である日本ブロードビジョンは、企業内および外部とのコミュニケーションとコラボレーションをモバイル上で一元化するエンタープライズソーシャルソリューション「Vmoso(ヴイモソ)」の国内公式販売を8月下旬から開始することを発表した。

同社は8月5日に記者発表会を行い、米BroadVisionのCEOであるピーホン・チェン氏が、同ソリューションの説明を行った。

BYODやデータ管理…企業の課題は?

ブロードビジョンでは、今日のグローバルなビジネスの場において「CC&E=Communication, Collaboration & Engagement」が必須であると考えを示している。また、CC&Eがデジタルエコノミー時代の新しいワークスタイルであるとも提唱している。

同社は、このCC&Eの実現には統合化された会話チャネルによるユニファイドコミュニケーションとコラボレーションのプラットフォームが必要であるという考えから、「Vmoso」を提供している。チェン氏によると、同ソリューションの開発に5年、1億ドル以上の研究開発費を投じているという。

Vmosoには、「Eメール」「インスタントメッセージ(チャット)」「コンテンツ共有」「ワークフロー」「ソーシャルネットワーキング」の5つの機能が集約されており、従来これらの機能を別々のツールで利用していたユーザーにとっては、ツールを1つに統合することができる。また、「バーチャル」「モバイル」「ソーシャル」という基盤から、場所を選ばずに使うことができるため、企業はBYODに役立てることができる。

米BroadVision CEO ピーホン・チェン氏

昨今浸透してきているBYODだが、そこにある危険性について、チェン氏は次のように説明した。

「企業から社員へ貸与するパソコンと異なり、BYODで利用するモバイルは個人が自身で選んだものとなる。企業としては、BYODによってコスト削減につながるというメリットがある反面、個人のモバイルにインストールされているLINEなどのアプリでビジネスの会話をされてしまうと、状況を把握することができなくなってしまう」(チェン氏)

そのほかにも、BYOA(bring-your-own-app)はセキュリティやデータ保護など、企業にとってさまざまな脅威をはらんでいる。

さらにチェン氏は、データの管理方法についても、次のように警告した。

「Eメールのツール、ワークフローのツール、と機能によってさまざまなツールが利用されているが、これでは同一の情報を冗長化させてしまうことにつながる。また情報が冗長化することによって、どれが適切なバージョンのものなのかもわからなくなってしまう。このような状況では、埋もれた情報や必要な情報を探すことも活用することも困難な状況となる。こうなると、"Big Data"ではなく"Big Garbage"だ」(チェン氏)

「人」と「場所」と「情報」をコラボレーション

Vmosoは「Permission-Based Sharing」と呼ばれる特許技術を利用し、必要な人といつでも、どこからでもセキュアにつながり、情報・コンテンツを共有したり、意見交換しながら、スムーズかつスピーディーに業務を処理するためのツールとされている。コラボレーションの基本要素を、「人々(People):共有相手」「コンテンツ:共有対象」「スペース:共有場所」に分類し、それぞれの基本要素をつなぐ手段Carrier(伝達方法)を提供している。それぞれ権限の設定が行えるため、セキュアに情報共有が行えるようになっている。

Vmosoの連携イメージ

また、統合化されたシングルインターフェースで、Eメール共有、インスタントメッセージ、コンテンツ共有、ワークフロー、ソーシャルネットワーキングを統合しているため、不要な情報の氾濫も整理される。

さらに、同ソリューションは外部アプリとの連携も可能としている。例えば、SharePointやYammerとの接続も可能となっており、コミュニケーションツールをMicrosoftやGoogleなどに統合化している企業の場合でも、Vmosoを適用することができるという。

VmosoとGoogleの統合

VmosoとMicrosoftの統合

Vmosoは、日本では8月下旬から公式販売が開始される予定となっている。モバイルアプリはApple StoreおよびGoogle Playからダウンロードにより利用可能となっている。無償提供されるPersonal版と、1ユーザー(1ID)あたり年間60~120ドル(最終的には販売代理店の提供価格とのこと)で利用できるEnterprise版の2タイプが用意される。また、「活動」「保管場所」「連絡先」「設定」の4つの機能が利用できるBasicモードと、それらに「時間」「分析」「メール」機能を追加したAdvancedモードの2つの利用モードが選べる。

日本ブロードビジョンでは、初年度で20顧客、3年後に300顧客の導入目標を掲げた。