8月3日(米国時間)にBusiness Insiderが報じていたAppleのMVNO参入の噂だが、翌4日に米Apple自身が公式声明で「MVNO立ち上げに関する議論と計画ともにない」と否定している。Appleが噂に対して直接否定コメントを出すのは珍しいが、額面通りに計画そのものが存在しない、あるいは現時点で計画を出せない何らかの理由があるかの両極端の可能性が考えられる。

同件はReutersなどが報じている前回のレポートにあるように、Appleが携帯キャリア中立のネットワークサービスを検討するという方向性そのものは十分に考えられる。一方でMVNOのサービスが位置付け的に難しく、Appleといえどもビジネスとして成功させられる保証がない。

また、仮にAppleが将来的なMVNO参入を検討していたとして、現時点で否定コメントを出す大きな意味も存在する。Re/codeでIna Fried氏も指摘しているが、すでにiPhoneは携帯キャリアにとって無視できないビジネスとなっており、実際にAppleが携帯キャリアの販売ルートや販売手法(契約縛りによる割引販売など)に依存している部分が大きい。そのため、仮にMVNO参入の動きが大きく報じられるようになると、ダムパイプ化を警戒する既存の携帯キャリアらを刺激する結果になりかねない。特にGoogleとの軋轢が強い欧州でのケースを見ればわかるように、今度はAppleが各国からターゲットとして攻撃されることも考えられる。Appleにとっても利益の大部分を稼ぎ出すiPhoneのビジネスモデルを自ら壊すことはしたくないだろう。しばらくは「学習中」という状況に徹するしかないというのが大きな理由だと予想される。