慶大、高齢者を対象とした調査により健康寿命を延ばす2つの要因を解明

 

慶應義塾大学(慶大)は8月4日、100歳以上の百寿者とその家族を対象とした大規模高齢者コホート研究を実施した結果、テロメア長および炎症が長寿のメカニズムに関連していることを明らかにしたと発表した。

同成果は同大学医学部 百寿総合研究センターの新井康通 専任講師、広瀬信義 特別招聘教授と、英ニューカッスル大学のThomas von Zglinicki 教授を中心とする研究グループによるもので、7月30日に「EBiOMedicine」に掲載された。

同研究では、百寿者684名とその家族167組、85~99歳の高齢者536名を対象に、長寿に関係があると考えられる造血能、代謝、肝機能、腎機能、細胞老化(テロメア長)の各領域のバイオマーカーを測定し、傾向を分析した。その結果、百寿者とその家族では、テロメア長と炎症という2つの領域において特徴があることを発見した。テロメアとは、染色体の末端にある塩基配列のことで、細胞が分裂するたびに少しずつ短くなるため、その長さは細胞の老化を反映する指標とされる。

高齢者では、加齢に伴ってテロメア長が徐々に短縮するが、百寿者およびその直径子孫ではテロメア長がより長く保たれており、実際の年齢が80歳代でも、60歳代の平均値に匹敵する長さを有していることがわかった。また、高齢者になるにしたがって上昇する炎症マーカーも、百寿者の直径子孫では低く抑えられていた。さらに、長寿者の中でも特に炎症が低いグループは、認知機能と生活の自立をより長い期間保持していることも判明した。

マウスを用いた研究では、炎症が老化を促進する要因であることが確認されており、同研究グループは、今回の研究成果は炎症が健康寿命を規定する要因であり、ヒトの老化過程にも関連していることを証明するものになったとしている。

現在利用されている抗炎症薬は、さまざまな副作用により慢性炎症を長期的に抑制する目的では使用することができないため、同研究成果を元により安全な代替薬が開発されれば、高齢者の生活の質を大きく改善できる可能性がある。また、なぜ老化に伴って炎症が起こるのか、免疫能や腸内環境、食事などとの関連を解析することで、新しい健康増進法の開発に繋がることが期待される。

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