ソーシャルメディアやWebサイトの構築・運用を提供するガイアックスは7月29日、累計2,000社の利用実績を誇る内定者フォロー・新人育成SNS「エアリーフレッシャーズ」事業において、2015年卒向けサイトの利用者である内定者(約3万人)の状況を分析し、内定承諾後の辞退傾向を公表した。

2015年卒のエアリーフレッシャーズ利用企業の人事担当者が、内定辞退の通知を受けた時期について傾向を分析した結果、2015年卒は学生の「就活終了時期」と「辞退を伝える時期」に数カ月のずれがあることがわかった。就活を終えるのは5~6月が多いが、内定辞退のピークは7月で、10月まで辞退率は高いまま推移している。この結果から同社は、学生が入社する企業を一社に絞り、他社の辞退を決めても報告していない、もしくは入社する会社を迷っていると分析している。さらに、年始から入社直前の3月にかけても辞退は微増しており、10月の内定式参加後も他社の内定を保持し、入社直前まで辞退をしない学生も一定数いることが伺える。

内定承諾後の辞退率と学生の就活終了時期の比較(2015年卒)

大学のキャリアセンターでは学生に対し、オワハラ(就職活動終われハラスメント)対策として学生が企業に提出する誓約書に法的拘束力がない点や、企業が内定を簡単に取り消すことはできないといった点について説明していることから、学生が複数の企業に内定承諾書を提出する傾向が強くなっていることが、この背景にあると考えられるという。

しかし、1人の学生が複数の内定枠を確保し続けると、その企業に入社を希望していた他の学生が内定をもらうチャンスを失うことになるため、内定を持っている学生と持っていない学生の差がさらに広がることとなる。これは企業にとっても内定を出した学生を失う可能性を抱えたまま、採用活動を終了してしまうことにつながる。

同社は、短い採用活動期間の中で多くの学生と企業に出会いの機会を行き渡らせるためには、入社する企業を決めた学生に早いタイミングで他の企業に辞退を伝えてもらうことが重要であり、そのためには、企業が内定を出したあとも学生とのコミュニケーションを継続することが大切だとしている。

HR総研の「人事白書2015」によると、2016年卒採用では、5月後半が初めの内定出しピークとなり、8月に2回目のピークを迎えると予想されている。学生に人気のある大手企業の多くが8月に採用活動を行うため、学生は6月前後に獲得した内定を持ったまま8月を迎える。そのため、8月に就活を終えて内定辞退する学生が増える見込みとなっている。昨年の調査結果と同じ傾向が続くとすれば、就活終了以降も内定を保持し続け、10月の内定式前や3月の入社直前まで辞退を言い出さない学生が出てくる可能性も考えられている。ガイアックスは、スケジュールが後ろ倒しになった2016年卒の採用活動では、例年にも増して内定後にいかに学生と密なコミュニケーションをとり、辞退の可能性を早めに察知するかが重要だと結論づけている。