「水」の安全性や選び方、活用方法を改めて考え直すことを目的とする「水を考えるプロジェクト」はこのほど、「"生活者"と"水"についての意識・実態調査」の結果を発表した。同調査は3月20日~21日、10代から60代の男女を対象として実施。各都道府県男女各50名、計4,700名の回答を得た。

熱中症の自覚症状と実態に2倍以上の差

人間が尿や発汗、呼吸などによって1日に排泄する水分は、2,500mlといわれている。そこで、1日に排泄される水分と同量の水分を補給する必要がある。一般に、水の摂取量は1,000mlを食事から、300mlを栄養素の体内代謝により発生する代謝水として得ることができるため、残りの1,200mlは飲料水で補給する必要があるとされる。

これを受け、「あなたは7~8月の暑い時期に熱中症対策として、1日にどの程度水を飲みますか?」と聞いたところ、基準である1,200mlを摂取できているのは、京都府(1,460.36ml)、静岡県(1,439.68ml)、宮城県(1,432.83ml)、鳥取県(1,241.72ml)、東京都(1,210.91ml)の5都府県のみとなり、約90%の道府県が必要水分量を摂取できていないことがわかった。なかでも山口県は、必要量の半分以下(585.16ml)の水分摂取にとどまっている実態も明らかとなった。

9割が水の摂取量不足と判明

さらに、日本国内でも特に暑いといわれている、熊谷(埼玉県)・多治見(岐阜県)・館林(群馬県)の3都市がある県での水の飲用量を見てみると、それぞれ熊谷(637.60ml)、多治見(1128.39ml)、館林(709.42ml)と、平均よりも飲用量が少ない結果となった。

熱中症予備軍の「隠れ熱中症」患者が5割を超える

4人に1人が熱中症の症状を経験

一方、環境省「熱中症環境保健マニュアル」をもとに、別の日程で行なわれた調査では、約4人に1人が「熱中症の経験がある」ことがわかった。同調査は5月27日28日、20代から70代の男女を対象として実施。各世代男女各50名、計600名の回答を得た。

経験した症状としては、I度の「めまい・失神」「筋肉痛・筋肉の硬直」「手足のしびれ・気分の不快」経験者が約半数いた。また、より重症度の高いII度に該当する「吐き気・頭痛」についても3人に1人が経験していた。また、熱中症の自覚症状と実際の熱中症経験には、2倍以上の差があることも明らかとなった。