OpenCarとNuance Communicationsは7月17日、OpenCarのインフォテインメント・フレームワーク「OpenCar Connect」がNuanceの音声プラットフォーム「Dragon Drive」をサポートすると発表した。

Nuanceのオートモーティブ部門 シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるアーンド・ヴァイル氏は、今後、自動車のスマート化が進むことが予測されるとし、「エンドユーザーに対し、自動車メーカーやティア1のサプライメーカーなどのパートナーと組んで、もっとも安全かつ自然に利用可能なユーザーインタフェースの提供を目指して取り組んできた」とこれまでの同社の活動を説明。すでに同社の音声入力技術を活用した自動車が全世界で1億3000万台、2014年に出荷された同社の組み込みスピーチ機能を搭載した自動車が2500万台であり、そのうち1000万台がクラウドベースのスピーチ機能を、200万台がコンテンツのアクセス機能をさらに有したものとなっているとする。

Dragon Driveの強みと構成要素

一方のOpenCarは、次世代コネクテッド・インフォテインメント・プラットフォームを構築する標準ベース・ソフトウェアやツールおよびサービスを開発/提供してきた企業で、次世代インフォテインメント分野向けに独自のフレームワークなどを提供するほか、GENIVIアライアンスやW3Cメンバーとして、それらのアライアンスが提供する技術との連携などの模索を行ってきた。同社CEOのジェフ・ペイン氏は、「クルマという分野においては、ユーザーがその車種に飽きるのが5年程度だが、搭載されたソフトウェアをアップデートさせることで、それをリセットさせることも可能だ。今後、自動車メーカーには積極的にソフト開発をしていってもらいたいが、これまでの自動車の開発手法では、ソフト開発にこれ以上のリソースを集中させることは難しく、より短期間で開発をしていくというニーズにはそぐわない。一方で、我々のフレームワークは独立したものであり、これを活用することで、新たな価値を生み出しやすくなる」と、自社の役割を説明する。

Draron DriveとOpenCarが連携することで、通信部分にDragon Driveの技術を用いることが可能となり、よりインフォテインメントシステム開発の容易化が可能となる

今回の協力関係により、こうしたユーザーインタフェースを含むインフォテインメント関連のリファレンスを活用して開発したシステムをDragon Driveの通信機能などを介して、実際のインフォテインメントシステムへとスムーズに連携させることが可能となる。また、Dragon Driveでは、すでに自動車と連携したドライバの認証や、ドライバの好みの設定などのやり取りなどをスマートフォンを介して可能であり、こうした機能をOpenCarのリファレンスアプリケーションに取り込むことが可能となる。

実際のOpenCarフレームワークを用いたデモ。右のPCで開発したものを、中央のスマートフォンのワイヤレスネットワーク経由で、インフォテインメントシステム側へと転送し、テストすることが可能。Dragon Driveはまだ実装されていないが、実装された場合、この通信部分を担ったり、音声入力での操作を可能にしたりすることとなる

なお同氏は、「クルマにとって、スマートフォンの役割は今度、重要になってくる。今回の提携はそうした未来を見据え、ユーザーが期待するものを提供しつつ、クルマの物理的な寿命がくるまで新鮮な技術を維持させることを可能とするものとなる」と述べており、今後のさらなる提携強化や、GENIVIアライアンスなどへの積極的な働きかけを行っていくとしていた。

左がNuanceのオートモーティブ部門 シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるアーンド・ヴァイル氏、右がOpenCarのCEOを務めるジェフ・ペイン氏