11歳の少女ライリーの頭の中の"感情たち"を描いたディズニー/ピクサー長編アニメーション20周年記念作品『インサイド・ヘッド』が、7月18日に公開を迎えた。同作では、ライリーが寝ている間の頭の中も描かれているが、現実に起きたことが夢に出てくるという仕組みは、本当なのだろうか。筑波大学の柳沢正史教授が"夢の仕組み"を解説した。

『インサイド・ヘッド』で描かれる人間の頭の中

同作では、ライリーが眠りにつくと、"ヨロコビ"以外の感情たちも眠りに入るが、"ヨロコビ"にだけ重要な任務がある。それは、ライリーが悪夢にうなされないよう、どんな夢を見ているか監視すること。感情たちがいる司令室では、ライリーが寝ている時に見る夢の映像が映し出される仕組みになっている。そしてその映像は、司令室から遠く離れた"夢の製作スタジオ"で、その日ライリーに起きた出来事を基に夢監督が指揮を執り、映画を撮るかのように作られている。

国際統合睡眠医科学研究機構の機構長も務める柳沢教授は、同作で描かれている"現実に起きたことが夢に出る"という仕組みについて、「夢は起きている間に体験したことの断片を組み合わせて作られるので、もちろん現実が反映されます」と回答。また、なぜある特定の場面が夢に出てくるのかは判明しておらず、夢は主観的なものなので研究対象としては難しいというが、「ライリーが学校で泣いてしまったということが夢に出てくるのは、ライリーの心理状態を表しています。彼女にとって泣いたことは、とても深い記憶なのでしょう」と話す。

さらに教授は「眠っている間も脳が休んでいる状態ではないことがしっかり表現されていました」と続ける。ライリーが寝ている間も"夢の製作スタジオ"は働いており、完全に頭の中がストップした状態にはならない。教授は「例えば楽器の練習をしてから寝ると、弾けなかった部分が起きたら弾けるようになったり、勉強も一晩寝ると暗記できていたりすることが多い。これは寝ている間に"思い出の整理"を行っているためで、記憶の定着が起こるからです」と解説し、「これは科学的に実証されている」と力強く語る。劇中でも、眠っている間に思い出の整理が行われていることをコミカルに表現。"思い出の保管場所"には今までライリーが記憶した思い出ボールがたくさん並んでおり、その中から不必要と判断された思い出は、記憶消し女と記憶消し男によって掃除機のようなもので吸い取られていく。

最後に、教授は本作のテーマについても言及。「人間が進化してきた過程で、"ビビリ"は危険を避けるため、"イカリ"は自己防衛など、それぞれ生存のために絶対に必要な感情」と言い、その上で「本当に悲しむことができる動物は、人間と一部の霊長類だけです。だから"カナシミ"がなぜ必要なのかというテーマは、とても面白い」と感慨深く述べた。

寝ている間も重要な任務がある"ヨロコビ"

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