宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月21日、小惑星探査機「はやぶさ2」が目指している小惑星「1999 JU3」の名称案の募集について記者説明会を開催した。

小惑星「1999 JU3」の最新のモデル

「1999 JU3」は1995年5月10日に米LINEARチームが発見した。大きさはおよそ900mで、地球と火星に挟まれるかたちで太陽の周りを公転している。この「1999 JU3」という呼称は正式名称ではなく、仮符号という暫定的なもので、「1999」が発見された年を、「J」が発見された月(頭文字ではなく、5月1日-15日に発見された事を表している)、「U3」は発見された順番を表している。

「1999 JU3」の概要

小惑星の名称決定までにはいくつかのステップを踏む必要がある。今回の場合、まずJAXAが集まった名称案の中から最もふさわしいものを選出する。その後、選出した名称を説明文とともに発見者のLINEARチームに提出し、LINEARから国際天文学連合(IAU)に提案してもらうことになる。IAUでの審査を経て、IAUの下部組織である小惑星センターが発行する科学誌「マイナープラネットサーキュラー」に名称が掲載されることで正式な発表となる。スムーズに進めば今年末には名称が正式に決定する見込みだ。小惑星の名称を提案する権利は発見者が持つが、今回の場合はJAXAがLINEARチームに「はやぶさ2」プロジェクトから提案させて欲しいと申し入れをし、了承された。

「1999 JU3」が発見されてからの経緯と今後

また、小惑星の名称を考えるにあたり、いくつかの注意点がある。「1999 JU3」が分類される地球接近小惑星(NEO)は、神話から名前をとるのが慣例となっている。神話が日本または海外のものであるかどうかは問われないが、NEOの場合、天地創造や死後の世界に関するものは避けることとされている。ただ、「はやぶさ」がサンプルリターンを行った「イトカワ(日本のロケットの生みの親である糸川英夫 博士にちなむ)」のように、特別な理由があれば神話以外から名付けられる可能性もあるという。

このほかでは、以下のような規則がある。

  • アルファベットで16文字以下でなければならない
  • 1語であることが望ましい
  • ラテン文字(英語のアルファベット)で表記できるものでなければならない
  • Offensive(不快な、感情を害するような、攻撃的な)なものであってはならない
  • 既存の小惑星や天然の衛星と同じまたは似た名前であってはならない
  • 戦争や政治に関連した出来事や人物についての名称は、その出来事が起こってから、あるいはその人物が死亡してから100年を経過する必要がある
  • ペットの名称は認められない
  • 宣伝となる名称は認められない

こうした規則の詳細については、7月22日13時30分より開設予定の名称案募集用の特設WEBページ内でも説明される予定。また、JAXAは、名称案が既存の小惑星や衛星と重複していないかIAUのホームページで確認することを勧めている。

募集期間は2015年7月22日13時30分~8月31日10時(日本時間)。JAXAのWEBページ、ハガキのほか、7月24日・25日のJAXA相模原キャンパス特別公開での応募用紙から応募を受け付ける。