福井県立恐竜博物館は7月14日、2014年度の長崎市との共同調査で、同市内の長崎半島西海岸に分布する約8100万年前(白亜紀後期)の地層から、ティラノサウルス科の大型種としては国内初となる化石を発見したと発表した。

今回発見されたのはティラノサウルス科の歯の化石2点。そのうち1点は全体的に保存状態が良く、北米のティラノサウルスやアジアのタルボサウルスといった、ティラノサウルス科の大型種に匹敵するサイズをもつ。また、先端部から基部へと向かう鋸歯列の方向などから、左下顎の歯とみられている。もう一方の歯は欠損や変形が見られるものの、保存されていた部分の計測値から完全なものは保存状態の良い方の歯よりさらに大きいと推測されている。

同調査ではティラノサウルス科の歯の化石2点のほかに、ティラノサウルス科ではないと考えられる獣脚類の歯の化石も1点発見されており、今後、3点の歯の実物化石と複製が長崎市と福井県立恐竜博物館で一般公開される予定となっている。

長崎市から発見されたティラノサウルス科(左・中)と他の獣脚類(右)の歯の化石。一番左の歯が保存状態が良く、先端から歯根部まで82mmある。真ん中の歯は欠損などが見られたが、元々の大きさは左の歯より大きいと考えられている。(画像提供:長崎市教育委員会・福井県立恐竜博物館)

北米のティラノサウルス(左)とアジアのタルボサウルス(右) (画像提供:山本匠)

ティラノサウルス科の化石が見つかった長崎半島西海岸(赤枠線内)