6月16-17日のFOMC、利上げについてヒントが得られるか注目

6月16-17日に米国の金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)が開催された。そこでの注目点は、年後半にも予想される利上げについて何らかのヒントが得られるかということだった。

とりわけ、市場関係者が関心を寄せたのが、FOMCの「ドット」と呼ばれる分布図だった。これは、イエレン議長も含めた、17人のFOMC参加者それぞれが予想する各年末の政策金利を、一人一人青い点としてプロットしたものだ。

少々分かりづらいので、見やすく加工し、比較のために前回3月時点のモノを加えたのが下の表だ(「長期予想」は割愛)。なお、政策金利水準を、0.25%幅に換算した、開始から各年末までの累計利上げ回数に置き換えている。例えば、下の表の右上隅の「2」が意味するのは、今回6月のFOMCで、利上げ開始から2017年末までに累計15回の利上げがあると予想した参加者が2人いたことを示している。その下の「4」は、同じく累計14回の利上げを予想した参加者が4人いたという意味だ。

FOMCの「ドット」(米FRB資料より抜粋)

「ドット」の公表を受けて、金融市場では利上げ観測が後退した。それは、FOMC各人の予想が前回3月時点に比べて全体として下方にシフトしたことが大きかった。2015年末の中央値は同じだったが、「年内に利上げ1回」との予想が前回の1人から5人に増えた。また、2016年末まで、あるいは2017年末までの中央値がそれぞれ1回減った。

もっとも、各人の予想はバラバラだ。例えば、2016年末までの累計利上げ回数の予想は、前回で「1回から14回」、今回でも「1回から11回」と大きく分かれていた。そうした中で、中央値が7回から6回に1回減ったからといって、どれほどの意味があるのか。2017年にしても然りだ。

2015年については、予想期間が前回の約9か月から今回の約6か月に短くなったので、「ドット」がある程度収れんするのは当然だろう。ましてや、3~5月ごろに景気の軟調が続いたので、今回「ドット」の上の方(利上げ回数の多い方)がなくなるのは容易に想像できた。

17人のFOMC参加者のうち、過半数の10人が年内に複数回の利上げを予想

より注目すべきは、今回でも、「年内に利上げ2回」との予想が5人、「同3回」との予想が5人いたことだ。つまり17人のFOMC参加者のうち、過半数の10人が年内に複数回の利上げを予想したことになる。

足もとの景気は、雇用や個人消費の回復が比較的鮮明になっている。その一方で、ドル高の悪影響や原油安に伴う開発投資の手控えなどで、製造業はやや冴えない状況にある。 金融政策はFOMC参加者全員の単純多数決で決まるわけではないし、あくまでも「今後の経済データ次第」であることは間違いないだろう。それでも、現時点で年内複数回の利上げのシナリオは生きている。むしろ、それがメインシナリオであると言えるのかもしれない。

執筆者プロフィール : 西田 明弘(にしだ あきひろ)

マネースクウェア・ジャパン 市場調査部 チーフ・アナリスト。1984年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。市場調査部チーフ・アナリストに就任。現在、M2JのWEBサイトで「市場調査部レポート」、「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑誌など様々なメディアに出演し、活躍中。