東京都福祉保健局は6月25日、東京都内で「リンゴ病」とも呼ばれる伝染性紅斑が都の警報基準を超えて流行していることを明らかにし、小児を持つ家庭などに向けて注意喚起をした。

同局によると、「ヒトパルボウイルスB19」を原因とする感染症の伝染性紅斑は、患者の約7割が6歳以下の小児だが、成人での発症例もあるという。

症状は両ほほに赤い発疹が、体や手足に網目状の発疹が生じる。発疹が出現する7~10日前には微熱など軽度の風邪のような症状が見られることもあり、この時期にウイルスの排出量が最多となる。発疹ができるころには自然と抗体ができ始めていて、1週間程度で消失するケースが多いとされている。

過去5年間における東京都の伝染性紅斑の定点当たり患者報告数(画像は東京都福祉保健局提供)

福祉保健局によると、伝染性紅斑は年ごとにその発生頻度に差がある疾患だが、昨秋より過去5年間の平均を大きく上回る状況が続いているという。6月15日から6月21日(第25週)の期間中は、都内264カ所の小児科定点医療機関から報告された定点当たり患者報告数(都内全体)が、1.27人/週となった。

また、保健所別の患者報告数が「警報レベル」(伝染性紅斑の場合、保健所単位で定点あたり2.0人/週を超えた警報開始から、1.0人/週を下回った警報終息までの間の状態)となったのは31保健所中8保健所まで増加。警報レベル状態にある保健所の管内人口の合計が東京都全体の人口の30%を超えた(33.3%)ため、東京都として警報を出した。

第25週(6月15日から21日)の東京都における保健所管轄地域別の伝染性紅斑の発生状況。色が赤に近づくにつれ、定点あたりの患者数が多くなっている。6月25日時点で警報レベルの保健所は台東、荒川区、練馬区、足立、八王子市、南多摩、多摩立川、多摩府中となっている(画像は東京都福祉保健局提供)

伝染性紅斑は飛沫(ひまつ)・接触感染で、患者のせきやくしゃみなどを介して感染する。そのため、手洗いやうがいなどの予防対策が重要となり、同局は「家庭での手洗いの習慣づけや保育所、幼稚園、学校などでの感染予防の指導にご協力をお願いします」と協力を呼びかけている。

今回の東京都の警報発令を受けて、インターネット上では

「今度は上のお姉ちゃんがりんご病」

「保育園でりんご病流行ってきてた」

「友達の子もなってた」

など、流行を不安視する声があがっている(コメントは原文)。