ドワンゴおよび日本将棋連盟は18日、2015年6月20日より開催する新棋戦の名称を「叡王戦(えいおうせん)」に決定したと発表した。これにあわせて、出場棋士全154名および全138局からなる段位別予選の組み合わせも公開された。

今回名称が決定した「叡王戦」は、段位別予選と本戦からなるトーナメント戦で、出場棋士はこれらを勝ち抜き、優勝者"叡王"を目指す。全現役プロ棋士159名中154名が出場する予定で、段位別予選は2015年6月20日~9月下旬に実施。本戦は予選を勝ち抜いた九段4名、八段~五段各2名、四段1名に、タイトル保持者の段位を加味した計16名により10月中旬~11月中旬に行われ、12月には決勝三番勝負を開催。この対局の勝者が「第1期電王戦」に出場することになる。また、タイトル保持者からは、糸谷哲郎竜王と郷田真隆王将が名乗りを上げたが、羽生善治四冠と渡辺明棋王はエントリーされていない。

今回発表された「叡王戦」という名称は、niconicoのWebサイト上で実施された名称公募およびユーザー投票により決定。公募では3,422件の案が寄せられ、その中から選出された9件の候補でユーザー投票を実施。その結果「叡王戦」に決定したという。命名者となったBONYさん(埼玉県在住・32歳男性)は、棋戦名に込めた意味について、「これに勝ったものは電王と戦うのだから、人間の王と意味にしたい。ならば、人間しか持たない、知恵や叡智を競う将棋の頂点に相応しい称号を考えた」とし、「『叡』 という字には、明らか、聡明、物の道理に通じた、という意味(ニコニコ大百科による)がある。将棋の道理を人間とコンピュータがどちらが理解しているか、という意味もこめて」とコメントしている。

なお、初日に開催される開幕戦は、九段の予選トーナメント1回戦でスタートし、10時から森内俊之九段vs森下卓九段、14時から加藤一二三九段vs南芳一九段、19時からは勝者同士による対局が行われる。これらの対局の模様は、ニコニコ生放送で生中継される。このほか、出場棋士および段位別予選の組み合わせの詳細は、公式サイトまで。

将棋電王戦FINAL 観戦記
第1局 斎藤慎太郎五段 対 Apery - 反撃の狼煙とAperyの誤算
第2局 永瀬拓矢六段 対 Selene - 努力の矛先、永瀬六段の才知
第3局 稲葉陽七段 対 やねうら王 - 入玉も届かず、対ソフト戦の心理
第4局 村山慈明七段 対 ponanza - 定跡とは何か、ponanzaが示した可能性
第3回将棋電王戦 観戦記
第1局 菅井竜也五段 対 習甦 - 菅井五段の誤算は"イメージと事実の差
第2局 佐藤紳哉六段 対 やねうら王 - 罠をかいくぐり最後に生き残ったのはどちらか
第3局 豊島将之七段 対 YSS - 人間が勝つ鍵はどこにあるか
第4局 森下卓九段 対 ツツカナ - 森下九段とツツカナが創り出したもの
第5局 屋敷伸之九段 対 Ponanza - 屋敷九段とPonanzaが一致していた読み筋
第2回将棋電王戦 観戦記
第1局 阿部光瑠四段 対 習甦 - 若き天才棋士が見せた"戦いの理想形"とコンピュータの悪手
第2局 佐藤慎一四段 対 Ponanza - 進化の壁を越えたコンピュータが歴史に新たな1ページを刻む
第3局 船江恒平五段 対 ツツカナ - 逆転に次ぐ逆転と「△6六銀」の謎
第4局 塚田泰明九段 対 Puella α - 泥にまみれた塚田九段が譲れなかったもの
第5局 三浦弘行八段 対 GPS将棋 - コンピュータは"生きた定跡"を創り出したか?