日本の演芸「落語」を面白い、興味深いと思いますか? (写真は「第17回文化庁メディア芸術祭」受賞展における落語がテーマの雲田春子による漫画「昭和元禄落語心中」展示風景)

今回は、日本の伝統芸能の中でも特に言葉が重要になる「落語」についてのアンケートです。日本で活躍する外国人落語家も存在するのですが、受け手として一般的な落語の印象はどんな感じでしょう。日本在住の外国人20名に「日本の演芸「落語」を面白い、興味深いと思いますか?」と質問してみました。

■面白いと思います。同じ国の人で落語をやっている人もいます。(トルコ/30代前半/女性)
■面白いし、笑えるし、素晴らしい伝統芸だと思います。(ドイツ/40代前半/女性)
■面白いです。(中国/20代後半/女性)
■面白いです。(マレーシア/30代前半/男性)
■面白いと思います。(ペルー/30代前半/男性)
■面白い、興味深いものです。(ベトナム/30代前半/女性)
■はい、両方そう思います。(ロシア/20代前半/女性)
■はい、思います。(台湾/40代前半/男性)
■はい。(韓国/40代後半/男性)
■はい。(オーストラリア/40代前半/男性)
■とても好きです。(スペイン/30代後半/男性)

日本語を駆使した芸のためか、今回のアンケートは賛否が半分にわかれました。

元禄時代の上方(大阪)や江戸に始まり、江戸時代に大衆芸能として現在の形になった落語。衣装や道具を用いる歌舞伎などとは異なり、落語家がひとりで語りと役を演じわけ、扇子や手拭ですべての小道具を表現し、身ぶり手ぶりのみで物語を進めるため高度な技術が必要とされています。

ちなみに、「落語」という呼び名は明治以降のものだそう。昭和に入ってからも三遊亭圓丈や3代目桂米朝、立川談志、6代目桂文枝、春風亭小朝など各世代の落語家が活躍し、古典、新作問わずさまざまな作品が演目として行われています。

また、トルコの方の回答にもある外国人落語家は、明治・大正時代から存在。「青い目の落語家」として活躍した初代快楽亭ブラックを始め、現在はカナダ人の桂三輝(サンシャイン)やイギリス人のダイアン吉日などが活躍しています。

■日本語をすごく理解していないと面白くないと思います。(ブラジル/20代後半/男性)
■面白そうですが、母国での笑い所と日本の笑い所が違うので自分にはあまり……。(タイ/30代後半/女性)
■面白い時もありますが、私は興味深いと思いません。(フィリピン/40代前半/女性)
■落語は難しくてあまり聞き取れないが、とても頭を使うものだと思う。(イギリス/20代前半/女性)
■僕には面白くない。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■落語には興味がありません。(アメリカ/20代後半/男性)
■あまり興味がないからよくわからない。(イスラエル/30代後半/女性)
■落語はあまり好きではないし詳しくありません。(スウェーデン/40代後半/女性)
■まあまあ。(チュニジア/40代後半/男性)

本当に上手な落語家の演目はすべての役柄が目に浮かぶようだと言われますが、それでも聞き取りが必要な話芸だけに、ハードルが高いと感じる方も多いようです。古い時代が舞台の作品が多く、日本の伝統文化や国民性に基づいた笑いなので、余計に難しく感じるのでしょうね。ブラジルやタイの方の「日本語を理解していないと」、「笑い所が違うので」という意見も、アメリカンジョークが日本人にはいまひとつ理解できないことを考えれば仕方がないのかも。見る側にも演じる側の意図をくみ取る力が必要だけに「頭を使う」という意見もうなずけます。

目や耳だけでも楽しめるアートや音楽の世界と異なり、笑いには言葉と国民性、文化背景の理解が重要です。コメンテーターとしても活躍するアメリカ人のパックンや漢字ネタの厚切りジェイソンなど、外国人のお笑い芸人も増えていますが(よしもとのチャド・マレーンのチャド、サンミュージックのタイムボムのニック、松竹のエリザベータなども)、言葉や歴史知識も必要な落語は難しく感じるのかもしれません。でも、私たち日本人が海外のコメディ映画を理解できるようになることと同じかも、と考えると、なんだかわかる気がします。