ネット上には、様々な紫外線対策情報が氾濫しています。また、商品のパッケージに明記されている「SPF」や「PA」について、正しく理解されていないために、「効果がない」という悲劇を生んでいるケースも少なくありません。ここでは、"本物" の紫外線 (UV) 対策をお伝えします。

まずは紫外線と肌老化の関係を知る!!

肌老化の原因のうち、60%~80%程度は、紫外線 (光老化) である言われています。つまり、紫外線に当たった時間と強さに比例して、肌の老化が進むというわけです。若い頃に日焼けが好きだった人は、20代後半以降はシミやシワに要注意です。

紫外線量は季節や天候で変化

常に降り注ぐ紫外線の量は、季節や天気によって左右されますが、6月~8月の晴天の日が最も日焼けをしやすい時期です。夏を除くと、4~5月・9~10月が比較的紫外線の量が多い傾向にあります。曇りの日は、快晴時の50%~60%程度の紫外線量になりますが、紫外線を浴びていることには変わりはありませんので、対策が必要です。

紫外線の種類を知る!!

紫外線は、波長によってUV-A、UV-B、UV-Cの3つに分かれます。

UV-A

UV-Aは、最も波長が長く、皮膚の真皮層まで届きます。弾力を保つコラーゲンやエラスチンを劣化させ、ジワジワと細胞に影響を与えるため、ハリ・シワ・たるみなどを引き起こします。

UV-B

UV-Bは、瞬発力があるため、いわゆる日焼けによる刺激炎症を引き起こし、シミの原因になるメラニン生成を活発にさせます。日焼け後、赤みが治まると皮膚全体が黒くなりますが、徐々に元の状態に戻ります。ただし、紫外線を浴びた感知量は消せないため、将来のシミ予備軍として蓄積されます。

UV-C

UV-Cは、ほとんど地上に届かないと言われていますので、心配しなくても大丈夫でしょう (ただ、オゾン層の破壊により、危険性が上昇する可能性もあります)。

地上に届き、肌にダメージを与える紫外線は「UV-A」と「UV-B」です

日焼け止めの成分を知る!!

日焼け止め化粧品には、紫外線カット剤というものが配合されているのですが、これには紫外線を吸収して変化させる「吸収剤」と、紫外線を返照 (へんしょう) させる「反射剤」という2種類があります。それぞれ一長一短がありますが、最近の日焼け止め化粧品は、反射剤が主流になっており、商品のパッケージなどでは「ノンケミカル」「吸収剤フリー」などと明記されています。

紫外線カット剤の主流は紫外線を返照させる「反射剤」

SPFの計算と塗る量が重要!!

続いて、日焼け止め化粧品に表記されているSPFについて説明します。

SPF (Sun Protection Factor: 紫外線防御指数) は、主にUV-Bをカットする働きがあります。その数値は、素肌の状態と紫外線カット剤を塗った状態を比べ、肌が赤くなるまでの紫外線量の割合を示しています。SPF20~SPF50までのものは、「紫外線そのもののブロック力は、ほとんど同じ」と思ってかまいません。

「SPF1」は素肌の状態です。「SPF20」であれば、「素肌の状態よりも20倍日焼けを起こさない状態にする」……という見解になります。最大値はSPF50+ (このプラスは「以上」という意味) です。

日本人の肌は、平均すると「紫外線を約20分浴びると日焼けが始まる」と言われており、SPF20の場合は、20×20分=400分後まで日焼けが始まるタイミングを引き伸ばせるという理屈になります。ただし、季節・時間帯・汗量・肌質などによって多少の違いが見られるうえに、あくまで「皮膚が赤くなるまでの時間」を表しているだけで、完全に紫外線を遮っているわけではありません。

そして、最も重要なポイントは、塗る量です。紫外線対策製品に表示されている数値の効果は、皮膚1 平方センチメートル対して2mgを塗った場合で測定されています。これは、顔全体に塗ると500円玉大程度の量に値しますが、実際にはその半分~3分の1以下しか塗っていない人がほとんどです。

筆者も実験を試みましたが、確かにかなりの量に相当するため、ベタつきや白浮きで塗り込むのにひと苦労ですので、規定量以上を塗るのは困難だと言えます。

特に女性は、メイクとの関連もあるため、気休め程度の薄塗りになっていることが考えられます。つまり、規定量の半分しか塗れていないとすれば、その効果も半分ということになります。製品によって違いはありますが、せっかくSPF50の製品を買っても、その効果はSPF25程度……ということもありえるのです。塗る量がもっと少なくなれば、SPF10以下……ということもあり得ます。「強力な日焼け止めを塗っているのに、なぜか焼けてしまう」という人が後を絶たない理由はここにあるのです。

日焼け止めの「数値」ばかりを過信して、使用量をしっかり守っていないと、その効果も激減してしまうということを覚えておきましょう。

なお、PAは、UV-Aをカットする働き (UV-A防御指数) を示し、「PA+ (プラス)」~「PA++++ (フォープラス)」までが表示されています。日常生活では「PA+」で十分ですが、レジャーでは「PA++ (ツープラス)」以上が望ましいと言えます。

日焼け止めは「塗る量」が大事!

執筆:松原好克
スキンケアカウンセラー、美容液研究家。高校卒業後、会社員として働く傍ら、約10年にわたり独学でスキンケアや化粧品の専門知識を深める。2008年から5年間で2,000人以上のカウンセリングを手掛けた経験を元に、現在では、年間約1,000人にも及ぶスキンケアの相談に応じる。また、美容関連の情報サイト・ポータルサイト・コラムサイトからの記事執筆、美容液を始めとする化粧品の評価やレビューも多数手掛ける。

本稿の内容を実行したことによる損害や障害などのトラブルについて、執筆者および編集部は責任を負うことができません。記載内容を行う場合は、その有効性、安全性など十分に考慮いただくようお願い致します。記載内容は記事掲載日時点の法令や情報に基づいたものです。また紹介されている商品やサービスは、すでに提供が終了していることもあるほか、入手先など記事に掲載されている情報のみとなり、お問い合わせに応じることができません。記載内容を参考にしていただき、ご自身の暮らしにお役立ていただけますと幸いです。