宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月11日、X線天文衛星「すざく」が、6月1日以来、衛星の動作状況を知らせる通信が間欠的にしか確立できない状態が続いていると発表した。

この通信不良は「すざく」の電力不足に起因していると考えられており、バッテリーが機能しておらず、衛星の太陽電池パドルに日が当たっている時間だけ衛星の電源が入り、パドルに日が当たらなくなると直ちに衛星電源が切れる状況だという。また、電源が失われたことで姿勢制御ができず、約3分間に1回の周期で無制御にスピンしている状態だと推定されている。

JAXAは、今後少なくとも1~2カ月にわたって正常観測への復帰を目指し、まずは姿勢の安定と、安定した電源を確保する方法を模索していくとしている。

「すざく」は2005年7月10日にM-Vロケット6号機で打ち上げられた、国内で5番目のX線天文衛星。目標寿命は約2年だったが、打ち上げ後約9年にわたり観測を続け、銀河団外縁部に至るX線スペクトルを初めて測定するなど、さまざまな成果をあげてきた。一方でバッテリーの劣化が進み、観測継続のためにバッテリーの使用方法を工夫しながら運用が続けられていた。

X線天文衛星「すざく」 (C)JAXA