メンター・グラフィックス・コーポレーション(メンター)は6月9日、エンタープライズ向け機能検証プラットフォーム・Mentor Enterprise Verification Platform(EVP)の機能強化を発表した。

今回の機能強化ではMentor EVPのベースとなっているQuesta Simulationの検証エンジンで、VHDL/Verilogシミュレーションそのものの性能とインクリメンタルフローの両方を改良したほか、リグレッションテストを最大で4倍高速化することに成功した。また、新しい高速ログ出力技術により、デバッグモードのシミュレーションをこれまでよりも2~4倍速く、1/3程度のメモリ使用で実行できるようになった。さらに、Visualizer Debug Environmentと組み合わせることで、同時にデバッグファイルの大幅なサイズ縮小が可能になるという。

Questa Verification Managementでは、データをマージしてランク付けする技術を改良し、従来比で最大10倍の速度でデータを収集、解析することが可能となった。Accellera UCIS標準に準拠したUCDB(Unified Coverage DataBase)を迅速に生成できるため、検証品質を素早く評価し、カバレッジクロージャ時間の短縮を測ることができる。

また、Questa Formalの検証エンジンでは、CDC(Clock Domain Crossing)、プロパティチェック、Xステート解析、接続チェック、セキュリティチェックなどのフォーマルアプリケーションにより、検証速度が最大で8倍高速化された。Questa Formalは、Questa Simulationとシームレスに連携することで、双方のエンジンの性能向上をもたらし、最終結果までの時間の短縮に貢献している。

このほか、Questa Power Aware Simulationが市販のシミュレータとして初めてIEEE 1801 UPF 2.1をサポート。UPFローパワー設計の自動スタティック/ダイナミックチェックにより、UPF記述の電力管理構造とその振る舞いを素早く検証することができるようになった。加えて、UPFベースのカバレッジ指標とテストプランの自動生成機能を備え、ローパワー設計のカバレッジクロージャに何が必要となるかを理解し、正確に追跡するのに役立てることができる。また、生産性に優れたローパワー検証メソドロジを有効活用できるように、UPF2.1を完全にサポートしていない下流ツールへの対応としてUPF 2.1から同等のUPF 1.0を生成する機能も搭載されている。

同社は「リグレッションテスト、デバッグ、カバレッジなど、すべての検証段階において最速で結果を得られる高性能な検証エンジンを顧客は求めています。Mentor EVPは、クラス最高の性能、生産性、ローパワー解析技術を単一の統合検証プラットフォームとして提供します」とコメントしている。