国土交通省東京国道事務所はこのほど、国道6号墨田区向島歩道橋付近から墨田川高校前交差点までの延長約1.2kmの区間において2月17日に試行的に設置した自転車専用通行帯(自転車レーン)に関して、整備直後の自転車の通行状況や道路利用者のアンケート調査の結果を発表した。

2月17日に試行的に設置された自転車専用通行帯(自転車レーン)

国土交通省東京国道事務所と警視庁等は2012年10月より「自転車通行環境整備課題検討WG」を設置し、東京都内の自転車通行環境整備の検討を進めており、同区間の自転車専用通行帯等はその一貫となっている。整備前における自転車通行の状況として、狭い歩道上では歩行者と自転車が、車道の左側では自転車とバイク・原付が交差する危険があり、また、路上駐車を避ける自転車が後方から来る自動車やバイクが交錯する危険があった。そのほか、車道を逆走する自転車も見受けられたという。

同区間は自動車の最高速度が法定の60km/hの道路であり、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(2012年11月、国土交通省・警察庁)によると構造的な分離が望ましいとされていたが、それに必要な道路幅員が確保できないため、視覚的な分離である自転車専用通行帯等の整備を試行した。

路肩幅員が1.5m以上確保できる区間(「向島交番前」交差点~墨田川高校前交差点)

路肩幅員が1.5m未満の区間(向島歩道橋~「本所高校入口」交差点)

路肩幅員が1.5m以上確保できる区間(「向島交番前」交差点~墨田川高校前交差点)には自転車と自動車の通行位置を視覚的に分離する自転車専用通行帯の青色舗装を、路肩幅員が1.5m未満の区間(向島歩道橋~「本所高校入口」交差点)には自動車利用者等に自転車動線を周知させる自転車ナビライン(路面表示)を施している。

整備直後の自転車の通行状況や道路利用者のアンケート調査では、歩道を通行する自転車の割合が整備前とくらべ減少し、自転車専用通行帯や車道の歩道寄りを通行する割合が増加したという。また、自転車利用者の約6割が走りやすくなったと回答している。危険への意識に関しては、自転車利用者の5割以上、歩行者の3割以上、自動車ドライバーの3割以上が危険に感じることが減ったと感じていることが分かった。

路肩幅員が1.5m以上の区間で上り・下りとも歩道通行の割合が減少し、車道順走の割合が増加した

路肩幅員が1.5m未満の区間でも上り・下りとも歩道通行の割合が減少し、車道順走の割合が増加した

国土交通省東京国道事務所は今後も自転車等の通行への効果や影響、道路利用者の意識の変化について調査を行い、効果検証を行っていくとしている。