半導体および電子部品のディストリビュータであるMouser Electronicsは6月3日、日本のカスタマサービスセンターを東京に開設したと発表した。同センターは6月上旬より本格稼働を開始する予定だという。

同社の代表取締役社長兼CEOのグレン・スミス(Glenn Smith)氏は、「我々の設計・開発エンジニアにアプローチしていくというビジネスモデルは、大量生産よりも設計が重視されるようになってきた日本という地域のニーズにマッチしている」と説明。実際に2014年の日本地域の売上高は前年比で36%増であり、アジア・太平洋地域におけるシェアは11%に及んでいる。

Mouserの代表取締役社長兼CEOであるグレン・スミス(Glenn Smith)氏

日本市場の売り上げが増加することで、アジア・太平洋地域の中におけるポジションも必然的に高いものとなってきているという

「我々の顧客は幅が広く、上は大企業から下はホビイストのような個人だったり、学生だったり。どのような位置づけの人であっても、我々のサービスを必要としている人であれば、同じように対応していく」とのことで、成長が続く日本地域においては、技術的サポートが重要と判断し、同社21カ所目となるサポート拠点を開設することを決定したとする。

日本から同社のWebサイトへの訪問数は年々増加しており、同社にアクセスするトラフィックの4%(アジア・太平洋地域に限れば14%)を占めるまでに至っている。ユーザー登録者数も高い伸びを示しており、今後もこの流れは継続するとの見方。ちなみに、日本のユーザーの95%がインターネット経由の注文で、残りの5%が香港オフィス経由での注文とのこと。日本のサポートセンターが立ち上がった後は、この香港オフィス経由の分が日本での対応分へと置き換えることが可能となる

また、こうした成長を受けて、同社Senior Vice President,EMEA and APAC businessesのマーク・バーロノン(Mark Burr-Lonnon)氏は、「この数年、全社業績は右肩上がりで成長を続けており、2007年から2014年までの7年間で7億ドル増加した。2015年の予測はさらに成長を見込んだもので、これが達成されれば、グローバルのトップ10ディストリビュータに入ることも夢ではない」とし、日本市場での成長に期待を寄せる。

MouserのSenior Vice President,EMEA and APAC businessesを務めるマーク・バーロノン(Mark Burr-Lonnon)氏

日本市場における売り上げの半数は半導体/組み込み関連だという。購入している層としてはメーカーのエンジニアが多く、そのうちの半数以上が産業機器関係だとし、「我々の生命線は、新製品をいち早く提供するということ。この点については、ほかのディストリビュータは我々ほど価値を提供できていない。日本の顧客もその点に価値を見出してくれているから、我々を活用してくれているのだと思う」(同)と日本の顧客の購買背景を分析する。

なお同氏は、「これまでは各地域の銀行口座での取引はできなかったが、今回を機にできるようになった。日本地域には日本地域に根差したマーケティング活動を行っていきたいと考えており、日本の半導体や電子部品メーカーが販売する製品の世界に向けた販売活動の支援も強化していきたい」とも話しており、サポートセンターの立ち上げは単なる購買顧客に対するサポートの充実だけではなく、日本のエレクトロニクス企業のグローバルでの躍進の手助けにもつながることであることを強調していた。

すべての商品は米国テキサス州にある本社で管理している。倉庫は50万ft2を超す広大なものだが、2015年第3四半期にはさらに12万4000ft2の倉庫がさらに加わることとなる。日本からの注文も、ここから発送され、通常であれば3日程度で手元に届く