ローランドとGLMは2日、「近未来サウンドを体感できるEVスポーツカー」記者発表・試乗会を都内で実施した。電気自動車(EV)向けのサウンド・システムを共同開発し、EVスポーツカー「トミーカイラ ZZ」のオプションとして搭載されるという。

EVスポーツカー「トミーカイラ ZZ」と並ぶローランド代表取締役社長の三木純一氏(写真左)とGLM代表取締役社長の小間裕康氏(同右)

京都大学発EVベンチャーとして設立されたGLMは2014年、「トミーカイラ ZZ」を国産初の量産EVスポーツカーとして復活させた。だが、EVは高い静粛性が長所とされる反面、スポーツカーの走りを楽しみたいドライバーから「物足りない」との声も聞かれたという。今回、電子楽器メーカーのローランドと「EVスポーツカー・サウンド・プロジェクト」でコラボし、「従来にはない近未来的な走行音」を実現させた。

ローランドが提供するEV車載用サウンド・システムに、同社独自の音源技術「Behavior Modeling Technology」が搭載されており、車速変化やアクセルの踏込み量など車両の状況をリアルタイムで検知。迫力ある走行音が作成され、車内ステレオ・スピーカーから再生される。サウンドタイプは数種類用意され、ドライバーの好みに応じて選択可能だ。将来的には、ユーザーによるサウンドの編集も可能になりうるという。

記者発表・試乗会にてプレゼンしたGLM代表取締役社長、小間裕康氏は、「スポーツカーには3つの重要な要素があります。デザイン、ハンドリング、そしてサウンド。クルマとして面白くなければいけない、そのために心躍らすようなサウンドを作りたい。そう考えたのがEVサウンド開発のきっかけでした」と説明。関西を中心に展開する楽器店からの紹介で、ローランドとのコラボが実現したとのことだった。

ローランド代表取締役社長、三木純一氏も登壇。「環境に優しく、今後発展する可能性のあるEVに、サウンドで運転する楽しみを提供するという試みは、社会貢献としても意義深く、当社独自のノウハウを生かせるという点でも興味深いテーマでした」と述べた。「トミーカイラ ZZ」も試乗したとのことで、「レーシングカーそのものの乗り味に加え、EV特有の未来的な感覚がありました。これに特徴ある加速音が加わることで、非常にユニークなスポーツカーになるのではないかと思います」と話していた。

EV走行音のオプション搭載が可能な「トミーカイラ ZZ」は今年秋の発売を予定しており、価格は現時点で未定。プレゼンテーションの後、同車の試乗会も実施され、従来のスポーツカーとは一線を画す独特の走行音を参加者らも体感していた。