こんにちは、SMMLab ゲストライターの柴です。

20代女性を中心に大人気のInstagram、最近では公式アカウントを開設する企業も増えてきています。しかし、まだ投稿のみの運用で様子を見ているというケースも多いのではないでしょうか。

今回は、エル・ガールのInstagramプレゼントキャンペーンをご紹介します。これまでも雑誌のプレゼントキャンペーンでは告知用にInstagramを使っていました。しかし現在は、Instagramにあわせて誌面のコンテンツやキャンペーンを企画するという逆の流れに変化しているようです。

本記事では、その経緯とInstagramキャンペーンへの参加を促す4ポイントについてお伝えします。

読者には「見えない世界」を紹介している日々の運用

エル・ガールがInstagramの運用を始めたのは2013年2月。早い段階での参入にもかかわらず、最初の投稿では100件近い「いいね!」とコメントが集まるという好調な滑り出しを見せています。

Instagramアカウント開設当時の最初の投稿

それもそのはず、エル・ガール読者はおしゃれ感度の高い20代女性。移り変わるトレンドを瞬時にとらえ、自らも情報を拡散する力を持つ彼女たちは、Instagramとの親和性も高かったのです。

アカウント開設以来、Instagramは編集者がいいなと思ったものや取材先の裏側、読者が普段は見られない世界を紹介する場として運用をしていました。現在は約2万3千人のフォロワーに対して、一つの投稿にコンスタントに400~600件、多い時で1,000件以上の「いいね!」が集まるようなアカウントに成長しています。

Instagramキャンペーンを初めて行ったのは、2014年11月の1月号。付録のポーチ&コスメにちなみ、読者から自慢のメイクポーチとコスメの画像を募集したのです。約3週間で応募が690件集まるという結果になりました。このキャンペーンの反響から、2015年からは毎号インスタグラムでコンテストを展開するようになるのです。

Instagramキャンペーンへの参加を促す4つのポイント

ここで今回取り上げるデニムをお題にしたInstagramのキャンペーンの話に進みましょう。

キャンペーンの内容は、エル・ガール5月号の「豪華デニム☆プレゼント」で紹介した最旬デニム(80本)をプレゼントするというもの。プレゼント応募専用サイトpictagから参加登録した後、Instagramに「#eg_denim」というハッシュタグをつけてデニムにまつわる画像を投稿することが応募条件になっていました。

最終的には、応募数だけでなく応募作品のクオリティが高さが目立つ結果となりました。どこに参加を促す要素があったのかを4つの観点から見ていきましょう。

▲プレゼントキャンペーンの応募作品の一部 対象物や加工にこだわりを感じるものばかり

1.「人に見られたくなる」テーマ設定

参加者が欲しいのは、手に入るかわからないプレゼントだけではありません。投稿すればすぐに得られる、周囲からの反応が欲しいのです。人に見せることが前提なので、撮影や画像加工も自然とこだわります。夢中になって作り、投稿して承認される、この一連の体験が楽しいのでしょう。結果的にクオリティの高い作品が多く集まるようになります。

だからこそ開催側は「人に見られたくなる」作品が作りやすいテーマを設定する必要があります。デニムは定番のファッションアイテムであるうえ、特に2015年は空前のデニムブームだと言われています。そんなおしゃれアイテムをテーマに持ってきたことが、今回のキャンペーンではキーになったのではないでしょうか。

2.発表の場を設ける

参加者は自分の作品を発表する場を求めています。もちろん、自分のアカウントも発表の場の一つです。

しかし、それに加えて開催側が発表の場を設けることも重要です。参加者にとっては、取り上げられたことが自慢できるという意味で特別な場になります。エル・ガールでは、キャンペーンの度に本誌やウェブで入賞作品を公開しています。

▲誌面上で前回のキャンペーンの受賞作品の発表と、今回のお題の告知を行っている

なお過去のキャンペーンでは入賞者が掲載されたことに関する喜びの声を以下のように投稿していたりと、さらなる二次拡散をよんでいるのです。

3.撮影しやすいものを扱う

参加のハードルを下げるという意味では、撮影しやすいものを扱うことが重要です。 今回テーマになったデニムは、誰もが一着は持っているものでしょう。日常のなかで手軽に撮影できるのです。

4.プレゼントが欲しくなるコンテンツを用意

プレゼントの魅力を伝えることで、より参加の確度も高くなります。

エル・ガールには、誌面とウェブの両面からプレゼントの魅力が最大限にひき出されるコンテンツが用意されていました。本誌では「春は断然デニム♥LOVER」という特集の後にキャンペーン紹介のページが掲載されています。デニムが欲しい気持ちが盛り上がっているタイミングだからこそ、キャンペーン参加への意欲も高いはずです。

▲左:特集「春は断然デニム♥LOVER」  右:プレゼントキャンペーン

また、ウェブ版のエル・ガール・オンラインでは、誌面にはない情報も掲載しています。一言でデニムといっても色々なフォルムがあるので、モデル着用した全方位シルエットや詳細説明は応募するプレゼントの決定に役立ちますね。

エル・ガール・オンラインに掲載されたキャンペーンの記事

読者の体験を軸にしたキャンペーン企画

本キャンペーンには、読者が興味のある読み物から入りキャンペーンを知って写真を撮影・加工し、投稿して周囲からの反応をもらうといった流れがあります。読者が自然に一連の流れを楽しめるような設計になっているのです。それは、キャンペーンにとどまらず紙やウェブの周辺のコンテンツまでが、読者の体験を軸に作られているからに他なりません。プレゼントキャンペーンだけが独立していたり、Instagramを告知のためだけに使ったりと、後からつなぎ合わせる方法ではないのです。

読者の体験を軸にすると、紙とウェブ、オウンドとソーシャルといった境目が溶けはじめます。そのぶん読者の心にはブランドの存在が強く残るようになるのではないでしょうか。

ライター紹介

柴 佳織(Kaori Shiba)

企業のFacebookページのコンサルティングから、解析・運用支援などを行う。また、Facebookマーケティングのライターや講師も務めている。

本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。