ノエビアグループはこのほど、神戸女学院大学大学院人間科学研究科と東京大学大学院新領域創成科学研究科との共同研究において、特定のアミノ酸を配合した飲料が「精神的ストレス」を軽減する作用を示したことを明らかにした。

コンピューターを使用した視覚探索課題「ATMT」による精神作業ストレス負荷試験時の脳波α波/β波の変化率

同社ではこれまで、抗ストレス効果のある製品の開発と研究を進めてきた。分岐鎖アミノ酸は、「身体的ストレス」からの回復促進効果が報告されているが、今回は「精神的ストレス」に対して、アミノ酸を配合した飲料がどのような効果を持つのか検証した。

研究には、分岐鎖アミノ酸BCAA(ロイシン・イソロイシン・バリン)を主体とする8種類のアミノ酸類を配合した「アミノ酸配合飲料」と、アミノ酸が含まれない「プラセボ飲料(偽薬)」を使用。被験者と実験者ともにいずれか区別できない条件で、単回摂取による「精神的ストレス」軽減を目的とした実験を2種類行った。

実験1では、成人女性8人に2種類の試験飲料を異なる日に摂取してもらい、コンピューターを用いた作業負荷として視覚探索課題「ATMT」(パソコン画面に表示される数字などを、順番に正しく、できるだけ早く押す課題)による精神負荷試験を実施した。脳波や唾液中ストレスマーカーなどにより、課題前後のストレス状態を評価した。

課題終了後、「プラセボ飲料(偽薬)」摂取時の脳波は、脳がリラックスしている状態を示す指標(閉眼時脳波α波/β波比)に低下が見られた。一方、「アミノ酸配合飲料」摂取時は、その低下の程度が軽減されていたという。

実験2では、成人女性25人に、2種類の試験飲料を異なる日に摂取してもらい、「内田-クレペリン検査」(一桁の数字の足し算を一定時間行う検査)による単純計算作業の精神ストレス負荷試験(前半15分、休憩5分、後15分)を実施。唾液中ストレスマーカーにより、同試験の前・中・後のストレス状態を評価した。

その結果、「プラセボ飲料(偽薬)」摂取時の作業前半終了直後に採取した唾液は、ストレスホルモン「コルチゾール」の濃度が上昇していた。一方、「アミノ酸配合飲料」摂取時は低下。作業の後半終了後には、いずれの飲料でも低減していたが、比較すると「アミノ酸配合飲料」摂取時の方が有意に低い値であったという。

単純計算を行う「内田-クレベリン検査」による精神作業ストレス負荷試験時の唾液コルチゾール濃度の変化率

これらの結果により、「アミノ酸配合飲料」を単回摂取すると、コンピューター作業や単純計算作業による精神ストレスが軽減できることが明らかになった。同社ではこの試験結果を、5月14日~18日に行われた「第69回日本栄養・食糧学会大会(第12回アジア栄養学会議(ACN2015)合同開催)」にて発表している。