意味が似ていて使い分けの難しい言葉が、日本語にはたくさんあります。そのひとつが「清算」と「精算」。この2つの言葉、それぞれにどのような意味があり、どう使い分けるのが正しいのでしょうか。「清算」と「精算」の違いを御紹介します。

■清算と精算は「清」と「精」に注目

清算に使われる「清」の文字は、文字通りきれいにする・きよめるという意味につながる漢字です。そのため「清算」は過去をきれいに整理するという意味や、お金の貸し借りにきれいに決着をつけるという意味でよく使われている言葉です。「過去を清算する」「借金を清算」等でよく使われます。

一方精算の「精」の文字は、精密や精巧等のこまかい・詳しいという意味につながる漢字。そのため精算はお金を細かく計算する、お金の過不足を細かく計算し直すという意味で使われています。

■清算書? 精算書?

仕事上でよく目にする「清算書」若しくは「精算書」。この2つの書類に違いはあるのかというと、文字の意味としては金銭の授受を行った書類という意味では「清算書」、計算式や日割り金額などお金を細かく計算した書類という意味では「精算書」が正しいのですが、この2つの使い分けが明確に行われていない場合も多いようです。

またこの2つが書類上で明確に使い分けられていなくても、この2つの意味が一枚の書類上で同時に成立している(金銭授受の証明と細かく計算した内訳が同時に記載されている等)ことも多いため、実被害は少ないと考えられています。

■関係を解消するときは「清算」

「精算」は主にお金にまつわる事柄によく使われる言葉ですが、「清算」の場合は人間関係を解消するとき、過去の事柄に決着をつけるとき等にも使われます。「過去を清算する」「関係を清算する」等、お金以外で何かをきれいに整理するという意味の「せいさん」を使うときは「清算」と覚えておきましょう。

日本語にはほんのわずかな文字の違いなのに、意味の異なる言葉が多くあります。是非似ているけれど同じ意味なのか、それとも違う意味なのかに迷ったら、参考にしてみてください。特にビジネス上では言葉の違いを指摘されるシーンも多いため、注意しましょう。

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