東陽テクニカは5月25日、IP通信回線からパケットをキャプチャして高速でディスク・デバイスにストリーミングできるというアプリケーションを自社開発し、100GbE(ギガビット・イーサネット)のパケットをフルレートで連続キャプチャする実験に成功したと発表した。また、同アプリケーションを搭載するパケット解析装置「Synesis」を2015年6月に発売する。価格は3,000万円(税別)。

Synesisの製品イメージ

通信事業者やサービス・プロバイダは大容量データを高速伝送可能な100GbE回線の導入を加速しており、通信障害の対応に備えて全てのパケットをキャプチャできるパケット解析装置を配備しているという。しかし、従来のパケット解析装置は40Gbitの処理速度しか無いため、100Gbitでも全てのパケットをキャプチャ可能なパケット解析装置の開発が求められていた。

100Gbitに対応したパケット装置の製品開発では一般的に、オンボード・メモリの容量以上のパケットをディスク・デバイスに保存しようとするとパケットの一部が欠落するという課題と、保存した膨大な数のパケットから解析に必要なパケットのみを抽出するのに時間を要するという2つの大きな課題があり、これまで製品化できていなかったという。

こうした状況を踏まえて同社は、100GbE対応のネットワーク・インタフェース・カードでキャプチャしたパケットを高速でディスク・デバイスにストリーミングし、直接保存できるプログラムを実装したアプリケーションを開発した。

これにより、理論上無制限にパケットを欠落なくディスク・デバイスに直接保存できるほか、ディスク・デバイスへの保存と同時にパケットを引き出しリアルタイムの解析が可能という。また、パケットの保存時にIPアドレスなどから生成されるインデックス情報も同時に保存することで、そのインデックス情報を基に膨大な数のパケットから目的のパケットのみを短時間で抽出し解析できるという。

新開発のアプリケーションの動作概念図

発売予定のSynesisは、新開発のアプリケーションを汎用サーバに搭載した据え置き型モデル。2つの100GbE回線を同時にパケット・キャプチャ可能で、最大50TBのパケット・データを保存できるという。

通信事業者やサービス・プロバイダは同製品の利用により、100GbE回線における通信障害の解明に要する時間を短縮し、通信サービスの品質を向上できるとしている。