季節の節目といえば二十四節気 (にじゅうしせっき)がありますが、節句はこれとは別に、豊作を祈る祝祭の日を意味する年中行事として設けられました。もともとは中国から伝来したならわしですが、日本古来の年中行事 (節会) と結びついたものが現在の節句になったとされています。

節句の「節 (せつ)」は「節目」という意味です。季節が変わる節目の日が節句というわけ。古来の日本では、節句の日はハレの日として労働を休み、神様に供物をささげたと言われています。と同時に、自分たちも供物を食すことで、霊力をつけたそうです。端午の節句にちまきを食べる習慣など、現在でもそのならわしが残っているのはそのためです。

五節句とは

現代でもよく知られる以下の「五節句」は、江戸時代に徳川幕府が定めたものです。当時は重要な行事として五節句をお祝いしたとか。

・人日 (じんじつ) の節句
1月7日 節句料理: 七草がゆ

・上巳 (じょうし) の節句
3月3日 節句料理: 甘酒、菱餅など

・端午 (たんご) の節句
5月5日 節句料理: 柏餅、ちまき、菖蒲湯など

・七夕 (しちせき) の節句
7月7日 節句料理: そうめん

・重陽 (ちょうよう) の節句
9月9日 節句料理: 菊の花を浮かべた酒

ちなみに、最近は豊作だけでなく、子供のすこやかな成長を祈る日、長寿を祝う日などとされています。季節の節目に節句料理を食べるのは、日本の美しい文化ですね。

<参考文献>
三省堂年中行事辞典【改訂版】 (三省堂) / 入門 日本の旧暦と七十二候 (洋泉社) / 原色シグマ新国語便覧 増補三訂版 (文英堂) / 暮らしのしきたり十二か月 うつくしい日本の歳時と年中行事 (神宮館) / 日本の風俗の謎 (樋口清之著、大和書房) / 日本人のならわしと暮らし暦12か月 (瀧本マリ子と日本人の暮らし研究会著、海龍社)

執筆:野村佳代

株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役。編集・ライター。一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。Webサイト「ビジネス文章力研究所」を運営している。